03.カルディアの修行

 翌日、特に何もなく、朝を迎える。


 小屋は狭く、寝息が聞こえるぐらいの距離で、彼女は寝ていた。


 無防備すぎる。夜明け間際までは、悶々としていた記憶がある。

 そのあとは、俺は寝てしまったようだ。


 俺が目を覚ました時には、カルディアはいなかった。


 着替えをしようと思ったが、そもそもそんなもの持ってなかった。

 風呂にも入ってないから、気持ちが悪い。とりあえず外に出て、カルディアを探すとする。



 ドアを開けると、大きな岩からすごい勢いで水が噴き出てる。

 なにこのファンタジー。絵がすごい。

 そして、今日もカルディアは可愛い。岩のすぐ横で、たぶん洗濯していた。棍棒のような大きな骨で洗濯物を叩いている。


 結構水量多いけど、大丈夫なの?排水どうなってるの?骨重くない?めっちゃ水かかって濡れてるけども、目のやり場に困るけども。


「これは、水の精霊が住んでいる岩だ。魔法を使わなくても綺麗な水が出てくるんだ。お前の服も洗ってやろうか?」


 精霊さんきました。精霊さん、ちょっと水出過ぎです。


「ず、ずいぶんと、いい設備ですね。あ、大丈夫です自分でできますよ。それに、これしか服ないんですよ」

ちょっと自嘲気味にいってしまった。


「そうだったな」


 カルディアは、何か思い出したように物置のような所に行き、そして革の鎧のようなものを持って来てくれた。森に落ちていたそうだ。

 着ろと?それを着ろと?洗濯する間それを着ろと?


 麻のズボン的なものも、持って来てくれたけど、あれ、これ血ついてない?これも落ちてたの?

 着ろと?これも着ろと?洗濯する間これも着ろと?


 とりあえず、カルディアの厚意が嬉しかった。


 そして、着た。裸に革の鎧。そして、血がトッピングされたわりと荒い麻ズボン。

 今まで味わったことのない感覚、新感覚。何かに目覚めそうだ。特に麻ズボンのほうで。



 とりあえず、心を無にして、ものすごい勢いで水が噴射する岩の側で洗濯物をする。

 骨は重くて持てない。あの子、どんだけ力持ちなの。

 とりあえず、手でグシャグシャしながら洗う。なんだかんだで、死にかけたりしたせいか、すごい汚れていた。

 洗って、カルディアが用意してくれた、物干し台に洗濯物を干す。

 と言っても、Tシャツと、ジーパンと、パンツだけ。


 カルディアは、素材に興味心身だった、特にゴム部分の伸縮がすごく気に入ったようで、ひっぱったり伸ばしていた。

 可愛いなぁカルディアは。



 それ、俺のパンツな。





 しかし、この子は、何年ここで暮らしているんだ。


「カルディアさんは、ここで長いこと暮らしているんですか?」


「んーん、そうだな。どのくらいになるだろうか。もう50年以上はここで修行していると思うぞ」


「えっ」


 どんだけ、修行してるの?何歳なの?

 なんでも、カルディアさんは魔法の適正があり、弓も使える。しかも、それなりの腕前らしい。

 最近、魔法と弓を合わせた技、光の矢が打てるようになったそうで、嬉しくて狩で多用しているそうだ。

 あぁ、あの時の光の線ですね。魔法の矢だったんですね。矢を回収しなくていいんだぞって、嬉しそうに教えてくれた。


 そして、ここで修行を始めた理由も教えてくれた。


「冒険者に憧れてな、剣術の修行をしているんだ」


「えっ」


 俺、別にこの世界の人間じゃないけど、弓とか魔法とかでも冒険者になれると思う。



 失礼は承知で、それとなく諭そうとすると


「なに言っているんだ、冒険者といえば、剣術だろ?ショートソードだろ!?」


「えっ」


 この子、魔法使えて弓も使えるのに、その上、剣術まで?

 しかもショートソード縛りとか、何周目だ。何を目指してるの?



「タケシは、迷い人だからわからないだろうけれど、冒険者といったらショートソードもってドラゴンに立ち向かっていくんだ」


 俺、別にこの世界の人間じゃないけど、絶対間違ってるとおもう。



 あと、さらっとドラゴンとかいっていたが、結構普通にいるらしい。

 この森にも、フォレストドラゴンという、羽が小さくて飛べないが、大型のドラゴンがいるそうだ。

 朝とか活動的らしく、この近くでも餌を食べてる姿が見れるそうだ。


 この子、何かの観察と勘違いしてないですが?

 餌食ってるってことは、俺らも食われるんじゃないですか?。



 明らかに、びびってる俺に気を遣ってか


「大丈夫。私が倒してやるよ。」


 なにこの武闘派、可愛い。天使だ。

 カルディアさんが強いのは、ボア戦でわかってますよ。でもドラゴンですよ?


 ごちゃごちゃいう俺の言葉を遮って、指さすカルディアさん。指も可愛い。


「それ(俺が持てなかった大きな骨)、前狩ったドラゴン」



 とりあえず、ドラゴンでたら、カルディアさんにお願いすることにした。

 情けなくなんてない。それぞれができることをやるんだ!

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