エピローグ

 私の生活は元に戻ったとは言えないかもしれないけど、平穏な日常を取り戻しつつある。

彼がいないこれからの生活が続いていくのだ。学校では彼は転校したことになっていた。そんなことまですでに手を回していたのかと思うと彼に感嘆する。私は彼のことをみんなに言うことはないだろう。


「光ー。ちょっと来てー」

咲良が私を呼ぶ声が聞こえる。


「うん、待ってて、今行くー」

そう言って、咲良の元へと向かう。


 高台にある学校から海が見える。海が私の目に入る。ふと彼のことを考える。彼が私のことを見ていると考えるとこの悲しさも少し和らぐ。私は胸を張って過ごしていこうと思う。私がウジウジしてるのは自分でもらしくないと思う。彼に笑われちゃうよ。


 彼は最後に言ったのだ。

「僕の生きる意味は君を見届けること。君がどんな人生を送るのか傍らで見させてもらうことにするよ」


 私は自分自身に、彼に自信を持っていられるようなそんな生き方をしよう。そう思った。そうして私は彼との出会ったあの日を思い返した。

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海より深い君への想い 柊 吉野 @milnano

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