第5話

 僕は最近何か変だ。以前とはどこがが違う。何が違うのだろうか?僕には分からない。彼女のことを考えるといつもと違う気持ちになる。この気持ちはなんなのだろう。

気になって仕方がない。


 これが本で読んだ、「恋」というものだろうか?僕は違うと思うけど、この疑問に答えを出すことができない。この気持ちは他の誰にも分からないし、僕にも分からないから。


 だけど、僕はこの気持ちの答えを出さなければならない。僕が僕でいられる今のうちに。

僕にはもうあまり時間がないから。


 もうこの日常にも慣れたものだ。気付けばもう夏の終盤だ。ピークのときよりはかなり涼しくなってきたな。そんなことを思いながら、私は今日もいつものように、砂浜へ向かう。


 彼はいつも通りそこにいた。だけどどこかいつもより少し暗かった。


「やあ」


「やあ」


 いつものように単純なあいさつをして、私は海斗に尋ねた。

「どうしたの?大丈夫?少し顔色か悪いけど…」


「大丈夫だよ。別に何にもないよ」


「そうなんだ、ならいいんだけど」

いつもと違うから少し不安だけど、彼が大丈夫と言うならそれを信じようと思う。


 それから何気ない話をして、その日は終わった。


 僕は彼女に全てを吐き出してしまいたかった。楽になりたかった。だけど僕は言い出せない。言い出す勇気がない。それを言ってしまったら彼女とはもう一緒にいられなくなるかもしれないから。でももうすぐばれてしまうのだろう。僕は彼女相手に隠し通せる気がしない。


 次の日、海斗はいつもの学校の登校時間になっても教室に姿を表さなかった。そして、先生がやって来て言った。

「おはよう。今日の連絡事項はない。いつも通りだ。それとは別に今日は宮野が休みだ。体調不良だそうだ」


 彼は来なかった。何だか嫌な予感がする、やはり何かあったのだろうか、今日一日ずっと私はそんなことが頭の片隅にあった。


 放課後、私は砂浜に向かった。いつもいる場所に彼はいなかった。今日はこないかもしれない、そんなことを思いながらあたりが暗くなっても私はずっと彼を待った。


 私はなんでこんなにも彼のことを思ってしまうのだろうか?この気持ちは以前感じたことのあるものだ。彼と短い間だけど毎日過ごして、普通じゃ経験できないことをした。だからなのたろうか私は彼のことを考えてしまう。


 でも私はこの気持ちの正体を知っている。


 あぁ私は彼が好きなのだ。


 不思議で静かで落ち着いていて、どこか暗いのに私は好きになってしまった。彼は自分をやけに卑下するけど、私は全然そんなこと思わなくて、逆に私にはないものを持っている。いつも一人でいて、それでも輝ける彼を私は尊敬している。


 彼は私の気持ちを伝えたら喜んでくれるかな、それとも嫌がるのかな。告白することに対しては何も恥ずかしいとかは思わない。だけど彼がその後私を避けてしまったらどうしよう、そんな不安だけが残る。


 私はなんの決意もできなかった。


 彼は結局来なかった。なんとなく予想はできていたけど、それが現実になってしまうとやはり悲しい。彼に何かがあったと思うと、とても心配になる。


 その日から一週間がたっても、彼は姿を見せなかった。学校にもそして砂浜にも。私が毎日砂浜に行っても彼は現れなかった。咲良たちに聞いても誰も分からない。こんなことは初めてだと言われた。別になにか用事があるのだろうと言う。


 海斗に会いたいな

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