第201話・秘密の吐露(2)
プリームスはここに居る経緯と自身の秘密をテユーミアへ語った。
テユーミアにとってそれは非常に興味深く、そして驚愕する内容ばかりであった。
「次は私の事を話さねばなりませんね。そうすればエスプランドルの古代迷宮についての秘密も理解するに至るでしょう」
そう告げるテユーミアは、プリームスを抱きしめベッドへ横たわった。
お互い横を向いた状態で見つめ合い、プリームスはテユーミアに腕枕をされる。
更にいつの間にか上の下着を剥ぎ取られてしまい、プリームスはその大きくて形の良い双丘を露にしてしまった。
「うわっ!?」
テユーミアの余りの早業に流石のプリームスも驚く。
そんなプリームスなどお構いなくテユーミアは、
「何て綺麗なのでしょうか・・・私だけの物にしたい衝動に駆られてしまいます・・・。でもそれは許されないでしょうから、今だけは・・・ね?」
と嬉しそうにプリームスに触れながら告げた。
『何が”ね?”だ・・・まぁテユーミアに触れるのも、触れられるのも心地よいゆえ構わないが』
そう諦めたようにプリームスは頷く。
プリームスの許可を得たテユーミアは、気の済むまで柔らかな感触と仄かに甘い香りを堪能した。
そうしてすっかりグッタリしてしまったプリームスを抱き寄せたまま、漸くテユーミアは話を始めた。
「私は古代迷宮を守護する防衛軍の指揮をしておりました。今あるこの私の膂力、武力、魔力も全てその為に得たものです。また最初にお伝えしましたが迷宮は3層に大きく分かれています。ですがその更に最下層が存在し絶対防衛線となっていて、私はそこまでの保安が主な任務だったのです」
”だったのです”・・・その言葉に疑問を抱くプリームス。
「以前はそうであったと言う事か・・・・では今は他の任務に就いていると?」
プリームスがそう尋ねると、テユーミアは頷き説明を続ける。
「その通りです。我が一族は強大な力を誇っていました。ですがそれ単体では不足する物も数多く有り、それを補う為に地上の協力が必要だったのです。これは迷宮が建設された当初から変わりなく、地上の権威と共に歩み、そして手を携えて今まで歴史を刻んできました」
そして当時を思い出す様に、少し遠い目で告げた。
「それで私の今の任務と言うは、地上の権威との
以前から不思議に思っていた事にプリームスは合点がいった。
本来、迷宮の主が国家と仲良くなるなど有り得なく、危険視され討伐対象になるのが常であった。
そんな迷宮の存在が国家と密接な関係にある理由が、漸くテユーミアの話から理解に及ぶ。
「と言う事はエスティーギアもテユーミアと同じく、縁の為に迷宮を出た訳だな?」
2人は女であり姉妹なのだから、同じ任務を受けていても可笑しくはない。
そう思いプリームスは問う。
「はい、ですがそれ以外にも私達姉妹は重要な任務を我が一族の王から・・・いえ、母から受けていました。これは迷宮の根幹に関わる内容になります。ですから聞いてしまば後には引き返せません」
神妙な面持ちでそこまで言い、
「御聞きになりますか?」
と念を押す様にテユーミアは告げた。
そんな事を言われて引き返す程にプリームスは軟弱でも無く、また無関心な質でも無い。
生まれ持った好奇心旺盛な性格に火か付いてしまう。
「その問いは愚問だぞ、ここまで聞かせておいて・・・。心配は要らないから話を続けてくれ」
プリームスのその言葉を聞きテユーミアは心配そうな表情を浮かべたが、その目は何やら期待に満ちていた。
「分かりました。では先ず我が一族が抱える使命を話しましょう。この使命は一族だけでの”問題”では無く、地上で暮らす全ての人々の問題と言っても過言ではありません」
随分と大仰な事を言うな・・・とプリームスは思うが、テユーミアの次の言葉でその考えは変わった。
「次元の切れ目を利用し侵攻してくる”魔神”を食い止めるのが、我が一族の使命なのです。この次元の切れ目は本来”勢力”として侵攻して来る程の大きさは無かったのですが、1000年前の大転倒が切っ掛けで大きく開いてしまったと言われています」
プリームスはテユーミアの語る内容に目を見張った。
”魔神”とはあらゆる世界、あらるゆ次元に干渉する力を持ち、人を駆逐しようとする存在だ。
そしてプリームスも知っていたのだ”魔神”の存在を、またその恐ろしさを・・・。
「この世界にも魔神は侵攻して来ていたのか・・・・」
今度はプリームスが呟いた言葉にテユーミアが目を見張る。
よもやプリームスに知らない事は無いのではと思ってしまう。
「ご存知でしたか・・・では戦われた事もあるのでしょうか?」
それには少し気落ちしたような様子でプリームスは答えた。
「あぁ、以前居た世界で
その表情は険しくなり強い後悔が浮かんでいた。
「魔神は強力な個体などと言う生易しい物では無く、軍勢となり強大な勢力となって
そして辛そうにテユーミアの胸へ顔を埋め、プリームスは弱々しい声で告げる。
「今思えば、もっと良い方法が有ったのかもしれないと後悔の念に堪えない」
テユーミアは胸が締め付けられる思いがした。
また想像を超える魔神との激戦を生き抜いて来たプリームスへ、自分の持つ重要な任務の内容を語るべきか逡巡する。
語ればきっとお節介でお人好しなプリームスは、力を貸してくれるに違いない。
そうすれば再び以前居た世界のように、プリームスを苦しめてしまうかもしれないのだ。
するとプリームスは囁くように言った。
「魔神には多く借りが有る・・・返さなければなるまい。それに乗りかかった船だ今更引き返すつもりもない」
テユーミアは戸惑ってしまう。
プリームスは強がっているのではないか?
「本当に宜しいのですか?」
「くどい!」
そう言ってプリームスはテユーミアの身体にかぶりついた。
かぶり付いたと言ったも、そんな強い物では無く大仰に優しく咥えたのだ。
「きゃっ!」
堪らず声が漏れてしまうテユーミア。
「分かりましたから! お話ししますからご勘弁を!」
「ょほしぃ・・・・」
かぶり付いたまま喋る物だから、何を言っているか定かではないプリームスであった。
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