逆時計
「そなた今なんと言った?」
「え、えーと。 使えるのは水の魔法と無限の魔力です……」
アストレアだけでなくマーシャまで口を大きく開けたままフリーズしている。
そういえばマーシャには言った事あったよね! なんで驚いているの!?
そのままの状態が三十秒ほど続き二人はハッとしたように顔をあわせた。
「海凪よ、無限の魔力とは本当なのか?」
「本当だよマーシャ。 言ってなかったっけ?」
「そんなの初耳だ! ただでさえ異種族と言うこともあって珍しいのに無限の魔力だと!? 希少どころか唯一だぞ!」
マーシャは鬼気迫る顔で問い詰めてくる。 アストレアはというといまだにフリーズしている。
そんなに珍しいものなのかな? 別に常に魔法を使っているわけでもないし需要がない気がするんだけどね……
「はっ! あやうくショックで逝きかけるとこだったぞ!」
「なんかすみません……」
「いいのだ。 だがそなたに興味が出てきたぞ! 中で話を聞かせてくれ!」
そういうとメイドが数人出てきて屋敷の中へと案内をしてくれた。 アストレアの屋敷はマーシャの屋敷と違い、城ではなく二階建ての豪邸という感じだ。
「無限の魔力はいいとして
「本当に使えますよ。 御覧に入れましょうか?」
「おお、頼むぞ!」
私は目の前に用意された水の入ったグラスに向かって祈った。
『水よ、造形と化せ』
そう祈ると水は動き出しグラスの中で桜のガラス細工の様になった。
「本当に使えるのか! しかも見たことない花だぞ!」
「この花は私も見たことがないな。 海凪、なんの花だ?」
二人は桜を初めて見たのか興味津々に聞いてくる。
「これは桜と言って私とナミが住んでいた国に咲いていた花です」
「住んでいた、と言うとどこ出身なのだ?」
「言っても通じないですよ。 今はない国ですから」
私は少し俯いて言う。 二人は察してくれたのか顔を見合わせてそれ以上聞いてはこなかった。
「さて、本題に入ろう。 アストレア、我が国の秘宝については知っているな」
「もちろんですわ、お姉さま」
それについて私は何も知らないんだよなあ。 マーシャと知り合ってまだ一日なんだし当り前だよね。
「あ、海凪にも説明しておかないとな。 あんまり大きい声で言えるものではないから一回しか言わないぞ」
言うんだね……
「我が国、ノズ公国の秘宝は
「時計が秘宝なの?」
「ああ、ただの変な時計なら良かったんだがな……」
マーシャは深刻そうな顔をして語り始める。
「
「盗まれてしまったと」
「本当に情けない……」
マーシャは唇を噛みながら言う。 それを見てアストレアも険しい顔をする。
時間を操れるなんてそんなのチートじゃん…… ちゃんと取り返せるのかな……
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