奴隷かあ……
「マーシャ!? なんでメイクなんかしているの!?」
「服屋の店主がサービスだとか言って施してくれたのだ」
「あの人か……」
マーシャは金髪ボブの美少女になっていた。 おそらく在庫を切らして門を出るときにマーシャを見て思わずメイクしちゃったとかかな。 やっぱりマーシャは誰から見ても綺麗なんだなあ。
「私はずっと暇だったけどニャー」
「お疲れ様、ナミ」
「ニャ」
合流した私たちは一目のつかないところで着替え、マーシャは貴族の娘で私とナミは侍女として変装することになった。
それにしてもマーシャって想像していたよりも大きいんだなあ。 その…… 胸が。
「なにか胸元がきつい気がするがこのようなものなのか」
「マーシャ、次言ったら許さないからね」
「ん? なぜだ?」
その胸に聞いてごらん、とは言いそうになったけど飲み込んだ。
「駄主人様も物好きニャねー。 こんな脂肪の塊が羨ましいなんてニャ」
「べ、別にうらやましいとか思ってないからね!」
「どうかニャー」
空を見ながらナミは茶化すように言う。
「そういうナミだってないじゃん!」
「私は別に気にしてないニャよ。 それにむしろ動きやすくて楽ニャ」
「うう……」
胸のことを気にしているのは私だけなのかな……
「まあ私は男として生きてきたわけだからな。 正直胸の大きさなんぞ気にすることはないのだ」
「そう言えるようになりたいな……」
「とにかくこれで色々と動きやすくなったわけニャし秘宝とやらを探すニャよ」
そう言ってナミは先頭を歩き始める。 道には貴族のような風貌をしたものや奴隷のように扱われている人までいる。
奴隷制なんて一度も見たことなかったけど随分とひどい扱いを受けているみたい。 所々に痣があり痛々しいなあ。
「ふん、帝国もひどいものだ。 奴隷制なんて誰も得をしないものを」
マーシャは奴隷制に不服があるようで通り過ぎる人を見るたびになにかをぶつぶつ呟いている。
「ねえ、マーシャはどんな国にしたかったの?」
「む、私か? 私は皆が平等にかつ、平和な国が一番だと思っている。 独裁や身分差があると何かしらの恨みやもめごとが起きるものだろう、それでは国は長続きはしない」
私はそれを聞いてマーシャがどれだけのことを背負って領主をやっていたかを痛感した。 ほぼ同年代と言っても差し支えないのにここまで違うなんて……
「まあここはほかの国、その王の勝手だろう」
「そうニャね。 それに私たちには関係ニャいし」
そんなことを話ながら町の中心部までやってきた。 中心部には広場があり、そこには市場や踊っている者までいる。
奴隷制とかを採用している国にしてはやけに明るい雰囲気だなあ。 これは何か裏があるのかも。
そう思いながらこれからについて三人で話し合うことにした。
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