助ける?
「お客人には大変ご迷惑をおかけしましたな。 ここではなんですしこちらへどうぞ」
レイおじい様とやらは笑顔で私たちを案内してくれる。 しかし私たちはその笑顔に違和感を覚えていた。
領主様に秘密があってそれを知られたから私たちを殺す。 それならわざわざ領主様を斬首まで追い込んで見ず知らずの私たちを助ける必要はない気がする。
「しばらくの間ここで待っていてくだされ」
「あ、はい」
「ニャ」
さっきの部屋とは違う窓がない部屋に案内された。 部屋に入ると……
バタン
ガチャ
部屋に入った瞬間扉を閉め鍵をかけられてしまった。
「しまっ」
「ふぉっふぉっふぉ。 引っかかりおったわい、これでこの国はわしのものじゃな」
そう言い切るとともに部屋に何かガスが放出され始めた。 私は咄嗟にナミと私の頭にシャボン玉を作った。
これなら毒ガスでも睡眠ガスでも防げるだろう。 改めてこの能力は応用がきいて便利だなあ、と思う。
(大丈夫ナミ!?)
(駄主人のおかげで吸い込む前だったニャ)
(それは良かった…… あのレイおじい様とかいうやつ殺っちゃっていいよね?)
(そうニャね。 こんなことをするくらいニャしろくな大臣でもないニャね)
(わかった。 次会ったら速攻肺に水を生成してやるわ)
(我が駄主人ながら結構惨いニャね……)
このくらいしても許されるだろう。 私たちが能力を使わなかったらすぐに処理されていただろうし。
そんなことを考えているとガスが収まってきて一気に通気口が開いた。
「これでわしを邪魔するものは誰もおらんな。 これでゆっくり
レイおじい様はぶつぶつと何かを言いながら入ってきた。
「な!? あれは虎ですら即死する…… ゴボォ」
私は言い切る前に肺に水を生成させた。
「行くよナミ」
「あいニャー」
いくら悪いからと言って老人が溺れ死ぬのを見ていられるほど私は心がないわけではない。
それに領主様のことも気になるしね。
ちょうどいいところにメイドが一人歩いてきた。
「すみません。 地下牢ってどこにあるんですか?」
「い、いきなりなんですか? まさか領主様を脱獄させる気ですか……?」
「いえいえそんなことしませんよ。 ただ私たちを殺そうとした悪人に一言二言くらい言ってやりたいだけですから」
「ああ、なるほど。 地下牢へは鍵が必要ですがこの先の地下への階段を下れば管理室がありますのでそこでもらってください」
「どーもです。 お仕事頑張ってくださいね」
さて、今度は領主様から話を聞いて場合によっては助けなくちゃね。
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