領主様!?
「うわあ……」
私たちは今、馬車に乗って町へと向かっています。 ふと外を眺めるとしっかりと石で舗装された道路で揺れが一切ないのも頷ける。
でもあの湖にだけ続いている道っぽいんだよなあ。 それくらい領主様といえど歩きでもいいんじゃないのかな。
「……であってだな、それによって我が国は……」
「そうなんですね。 とっても自然が豊かでいい国ですね」
かれこれ一時間ほど乗っているのだがそんなに来客が嬉しいのか永遠と領主様からの国自慢が止まらない。
そのおかげでこの国は百年ほど前から引き継がれている国であり、隣の帝国と臨戦態勢であることや経済状況が傾いてきていることなどを知ることが出来た。
私たちのことを敵国のスパイとか思わないのかな? 普通に空から落ちてきて異常なほどの魔法を使っているのに怪しむ姿勢すらないってどうなんだろう……
ひょっとして経済状況が悪くなっていっているのもこの領主様のバカさのせいなのかな……
「自然か…… いいものよな」
領主様は窓から外を見た。 その顔は少し憂いに満ちている様子だった。
「僕は先代から受け継いだこの自然や民を守りたいのだ。 しかし最近は家臣どもがやれ効率だ、やれ生産性だとぬかしておってらちが明かん」
「確かに自然は大事ですよね」
私は心からそう思う。
私が都会ではなく田舎で生まれていたら。 自然が多く電子機器に頼らず外で遊べていたら、きっとここにはいなかったんだろうなあ。 そんなことを思ってしまう。
「そなた! わかってくれるのか!?」
「もちろんです。 なくなって気づくものはいくらでもありますから」
「やはり僕の目に狂いはなかった! まだそなたたちの名前を聞いてはいなかったな。 なんというのだ?」
「えーと、海凪です」
「……ナミニャ」
私は日本名が変ではないか不安だったが本名を名乗ることにした。 またナミは人見知りをしているのか小声で言った。
「おお! 海凪殿にナミ殿か! 二人とも良い名だな!」
「いえいえ、どうも……」
良い名と言われてもしっくりこないなあ。 私の名前の意味は海の凪のように静かで綺麗にって意味だし。 まあ、静かと言う点では意味通りに育ったのかな。
「おお、こんな話をしていたらもうそろそろ我が屋敷ではないか」
領主様は窓の外を指さして言った。 その方向には第一の世界で見た魔王城よりも大きくベージュを地にした城が立っていた。
「お、大きい……」
「そうニャね……」
珍しくナミも反応している。 高さにして現実の十階建てのマンションくらいだろうか。 とにかく大きすぎる。
ふと私は思った。
これで財政難なの? それに都市部の方は随分と賑わっているようだけど……
「これも
私は言及はしなかったものの
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