ここが異世界……
「きゃあぁぁぁぁぁ」
「ニャアアアアアア」
私とナミは死神と話していたと思ったら突然目の前が色づき空から落ちています。
説明が一切ないあの死神に一発どつきたいですが今はそれどころではないですね。 どんどんと近づいてくる地面にどうすれば私たちが助かるか考えなくちゃ、ですね。
「あの! ナミ! 何とかできないんですか!?」
「駄主人様こそ能力をもらったんじゃないんですかニャ!?」
能力って言ったって、あの死神から何も聞いてないですよ!?
と、とりあえず色々試してみるしかないみたいですね!
私は腕に力を込めてみます。
「はあぁぁぁぁぁ!」
「な、何も起きてないニャよ!」
やっぱり、ただ力を入れるだけじゃ何も起きないみたい……
思い出さなきゃ! 死神の言っていたことになにかヒントがあるはずですよね!
確か死神は……
『力の内容はあなたに関係があることよー♪』
それです! でも私に関係があることって……?
私には得意なこともないし、好きなものもないんですよね。
あの死神の言っていることはヒントでも何もないじゃないですか……
「駄主人様ぁぁぁぁ! もう地面が近いですニャァァァァ!」
「え!?」
私は下を見てみます。
眼前には青々と生い茂る森があり木の一本一本が大きく見えてきており、このままじゃ地面とぶつかるか、木に刺さって死んじゃいます!
一度死んだ身だけど転生してまですぐに死ぬわけにはいかないです!
神様! どうか私とナミを助けてください!
「うニャアア! 水は嫌ニャアァァァ!」
「ど、どういうこと!?」
私は夢でも見ているのでしょうか。
地面からスライム状の液体が私たちに向かって伸びてきていています。
一体何なんなんですか!? これが私の能力なのですか!?
「と、とりあえず! 私たちを守って!」
そう言ってみると、まるで私の意志の通りに動き始め私とナミの体を球状に包み込んでしまいました。
そしてついに地面と……
ボヨ~ン
「ぶつかった、のかな……?」
あまりにも衝撃がなく動きが止まったから私とナミはキョトンとしている。
おそらくあの液体が衝撃を吸収してくれたみたいです。
幸い木がないところに落ちたから串刺しにならずに済みました。
「た、助かったのかニャ? あれが駄主人様の力なのかニャ?」
「わ、私にもよくわからない…… でも、そうっぽいような……」
でも自分でも何をしたのかよく分からない……
もしかして私があの液体を操れたのってもしかして私の名前に関係があるんじゃないのかな?
だって、私の名前は河合海凪だし……
死神さん、それは安直すぎないですか?
「でも水の力か…… ナミもいるし使いにくいかもなぁ」
「そうニャよ! さっきは水で死ぬかと思ったニャ!」
ナミはそう言いながら体を振っています。
猫なんですか。 あ、猫でした……
「ま、まあ。 ナミには使わないようにしますね」
「それは駄主人にも言えることじゃないのかニャ?」
「え? どういうこと?」
「駄主人様、頭を触ってみるニャ」
頭? 一体どういうことなんでしょう。
「ん?」
頭に触れてみるといつもの私のショートボブの髪と…… モフモフしていて先が折れている何かがありました。
これってもしかして……
「ねえナミ? このモフモフで三角形なのって……」
「耳ニャね」
「あんのクソ死神ぃぃぃ!」
ああ、もうおしとやかキャラとかめんどくさいしいいや! 今まで周りの人のためにおとなしくしていたけどもうそんな必要だってないんだし!
そしてなんなのあの死神は! 別に猫の姿にしないで人間の姿でもよくない!?
あと、最初から服くらいは用意しておいてくれないかな!?
私とナミは今、全裸で水をかぶっている。 風邪もひきそうだし、人に見つかったら通報されかねない。
「ナミ! とりあえず安全な場所を探すわよ!」
「あたり一面森ニャけどどうやって安全な場所を探すのかニャ?」
「あ……」
どうしよう……
ここがどこかも分からないのに……
「あたり一面探してみるしかないニャね……」
*
とりあえず近くに小さい洞穴を見つけたのでそこに入って体を乾かし、これからについてナミと話し合うことにした。
「ほんとに猫の姿と能力をもらったんだね……」
暗いはずの洞穴の中でもはっきりと地形を見ることができる。
それに耳をすませば洞穴内の滴る水の音や洞穴の外で何かが動いている音も聞こえる。
また、腰あたりからしっぽまで生えている。
不思議な感覚だけど自分でモフモフできて気持ちがいい。
「なかなか便利ですニャ? ただこの体は慣れないですけどニャ……」
「そりゃそうよね……」
ナミは人型になっているのだから当たり前なのか。
慣れるまではサポートしてあげようかな。 たった一人の仲間なんだしね。
カタッ
うん?
今、洞穴の近くで足音が聞こえたような……
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