‪ 不登校引きこもり少女が猫耳魔法使いに転生!?しかも世界を救う度に女神に殺されることになった件

月猫

~~プロローグ~~ 現実にて

 猫は好き、人間は嫌い。

 これは私が常日頃から思っていることです。

 人間は私のことをバカにして蔑みます、でも猫はそんな私を癒してくれます。

 だから私は学校に行かずに両親と暮らしている家の一室に猫一匹とともに引きこもってます。


「ねえ、海凪みなぎ? そろそろ部屋から出てこない?」


 お母さんが毎日言ってくるけど私の答えはいつも無言です。

 両親でさえ傷ついた私に気づかずに過ごしてたのですから学校の連中もきっと私のことなんか忘れているでしょう。

 もういっそのこと死んで転生とかしてみたいなあ。


『そんなに現世が嫌なのかい? 転生ができるとしたらやってみる?』


 なんか頭の中に女の人の声でしゃべりかけてきています。

 私はついにおかしくなったのでしょうか?


『おかしくなんかなってないよー。 それより転生したいのかい?』

「できることならしたいですが…… ナミはどうなるのですか?」


 ナミ、私の飼っている猫だ。

 

 この子にはどんなに辛い時も助けられてきた。 だから私が死ぬとしてもナミには幸せになってほしい。


『わかったわよ、ナミちゃんはナミちゃんが望むようにしてあげるわ』


 それならもうこの世に思い残すことはない。

 嫌いな友達もいない、私のことを心配だけして原因を探そうとしない両親、やっと解放されるんだ。


『じゃあ、少し痛いかもだけど我慢してね♪』

「え?」


 謎の声がそう言った瞬間、私の胸付近に鋭い痛みが走り視界が暗転してしまいました。


 *


「うう、痛いです…… もうちょっとやさしてくれないものですかね……」


 私はどうやら死ねた、のでしょうか? 

 どこか白い世界に飛ばされたみたいですけどここは…… 天国?


「なんで死ぬ痛みで感想が一言なのよ……」

「うわっ! びっくりした……」


 目の前に突然女の人が現れました。


「えっと、女神様かなにかですか?」


 なんか女神さまにしては禍々しい衣装を着てるけどどうなんだろう。


「えっと半分正解で半分外れかな。 私は女神だけど救いの神ではなくて死神なのよね♪」

「それってただの死神じゃ……」

「まあ、細かいことは気にしないでね♪ 河合 海凪かわい みなぎさん?」


 なんで私の名前を知っているの? まあ神様なら知っていてもおかしくない、のかな……


「あなたのことは何でも知ってるわよー。 例えばあなたの引きこもりの理由とかスリーサイズとかね」


 スリーサイズまで知ってるんだ…… 私のなんて恥ずかしくて人に言えたもんじゃないんだけどな……


「ちゃんと神様だってわかりましたよ。 でもなんで殺した私をここに呼んだんですか?」


 普通死んだら天国か地獄に行くもんじゃないのかな。

 なんで死んでまでこんな真っ白な空間に連れてこられなきゃいけないんですか?


「人の話はちゃんと聞くべきよ? あなたには私からのお願いがあるの」

「お願いですか? 結構嫌ですが話だけなら聞きますけど……」

「結構毒舌なのね…… あなたを殺してあげた代わりに世界を救ってくれないかしら?」


 ……え? 一体何を言ってるんです?

 世界を救う? 私は死んだわけじゃなく夢でも見ているのでしょうか……


「私も夢ならいいんだけどねー。 神様から頼まれちゃってさ」

「まさかまた現実に戻すとかじゃないですよね? それだったら地獄にでも堕ちてやりますよ!」

「現実は現実だけど地球ではないわよ? それとあなたが喜んでくれそうなことをしておいたわ♪」


 私が喜ぶ? なんだろう、この人が言うとまったく喜べる気がしない。


「で、なんで私がこんなことになったのかニャ?」

「え!?」


 いきなり背後から声が聞こえました。

 思わず振り返るとそこには頭から耳が生えた美少女が立っています。 しかも巨乳です。


「あ、あなたは?」

「ニャ? 何を言ってるんですかニャ? 駄主人様?」

「え、ほんとにどちら様ですか……? 私の知り合いにこんなケモミミ美少女はいないですけど……」

「やっぱりあなたは駄主人様ですニャ……」


 駄主人様? ニャ?

 もしかして……


「あのー、もしかしてナミさん?」

「ニャ」


 当たっていたのか頷きながら鳴きました。

 これがナミなんだ! と思いましたけど釣り目で髪は黒髪ボブ。

 しゃべり方も相まって完全にドSキャラですよ……


「なんか素直に喜べないような……」

「ニャ!? 駄主人様がここに連れてきておいて何を言ってるニャ!?」


 あ、そうなんですね。

 ナミにも説明がないって…… あの死神、結構雑なのね。


「雑じゃないわよ! それと女神様よ!」

「はいはい、わかりましたから…… それで世界を救わなくちゃいけないんでしたっけ?」

「そうよー♪ もう時間がないから頼むわねー」


 死神がそう言った瞬間、私とナミの周りに魔法陣らしきものが浮かび上がってきました。


「え?」

「ニャ?」

『あ、いい忘れてたけどあなたたちには特別なを授けてあげるから今回は簡単なはずよ♪ 力の内容はあなたに関係あることよー♪』


 なんか引っかかる言葉がいくつかあったような…… でもそんなことは言っている時間はなさそうです。

 なぜならナミと私は素っ裸になりながら空から落ちているのですから。


「あんのクソ死神がぁぁ」

「それに関しては同感ニャアア」


 おっと、いけない。 思わず本音が出てしまいました……

 まあ、とりあえず私の転生生活が始まったみたいです。この状況を何とかしなきゃ死んじゃうですけどね……

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