第21話 Side:みずき お仕事でお客さん・・・

今日は、バレンタイン!!女の子から男の子に想いや感謝を伝えることできる難易度が一番下がる日だ。日ごろの想い「バレンタインだから」の一言で伝えやすくなる。

何とも、お菓子メーカーの策略はうまい。


「これで、準備OKっと。あとは待ち合わせね。ざっき~はいつも早くくるから早めにいかないと。」

そんな独り言をいいながら会社を退社しそのまま町合わせに向かう。


◇◆◇


待ち合わせの時間より、少し早く着きすぎた。まあざっき~もすぐ来るだろうから待ってよう。

そう、おもったのが良くなかった。


「ねえねえ、そこのお姉さん。待ち合わせです??僕たちもそうなんですよ~~」

いかにも、遊んでます見たいな20歳くらいの若者が3人ほどで声をかけてきた。

こういう手合いは反応するとつけあがるので、私は当然無視を決め込んでいる。しかしその選択がよくなかった。


「おねえさん無視ですか~、僕たち悲しいなあ。ねえ、待ち合わせなんてほうって僕たちと遊びましょうよう。」


そんなこと言いながら腕をつかんで引っ張ってきた。


「やめてください。こまります。」


強めに言ったつもりだが、逆効果のようで。


「声もかわいいじゃないですか、別の場所でもっと聞かせてくださいよ~」

と言いながら肩に手をまわされながら耳元でささやかれる。






体が震え、強い恐怖を感じる。







だれかたすけて。声にならない。




「みずき、こっちこっち」


怖い若者たちの手を振り払い、声のする方へ駆け寄る。若者たちは、そそくさと居なくなった。


「怖かった・・・」


「そっか、おそくなってごめんな」


まだ、待ち合わせの10分前、怖かったとつぶやいた私を気遣ってくれる一言だった。それからは私の震える手握ってお店まで連れってくれた。


何とも、温かくて頼もしい手なんだろう。安心するのにドキドキする。


それからは、何とか平静を装って楽しく過ごした。いや、ざっき~と過ごすのがすごくたのしい。


◇◆◇


なんとか、一日も終わり家に帰る。


化粧を落としベッドにダイブする、そうすると急に絡まれてた時の恐怖がよみがえるのと同時にざっき~の温かい手の感触を思い出す。

またしても、安心しながらドキドキしてきた。


いやいや “お仕事でお客様・お仕事でお客様” と心の中で繰り返す。




ちょうど明日は会社の先輩とランチだから相談してみよう。


◇◆◇


「今日の先輩はむっちゃ、お洒落っすね。夜はデートですかあああ」


「みずきちゃん、実はねそうなの。」


「へえ~珍しいっすね、あれから、『男なんて』って言って紹介されても乗り気じゃなかったのに」


「それが、すごくいい人で、ほら、私ってディープなアニオタじゃない。その人はあんまり詳しくないし、そんなに興味もないはずの私の話をすごくキラキラした顔で聞いてくれるの。話してて楽しくなっちゃって。」


「そんな、感じなんすね。私は昨日、お客さんと同伴だったんですけど、その時、性質の悪いナンパ野郎どもに絡まれまして、その時さっと助けてくれてその後何も言わわずに手を握ってくれた手がすごく暖かくて安心しながらもドキドキするっていう、何か変な感じなんですよ。」


「みずきちゃん、それは落ちたね。」


「たしかに、その日はその人が3倍イケメンに見えました。気になる存在になっちゃいましたね。ああ~お客さんなのに・・・そうそう、今日のお相手はどんなひとなんですか??」


「どんなって、んん~まだいいお友達って感じかな。恋人候補ではあるけど。私のこと傷つけないようにってすごく言葉選んでくれるし。まあこれから次第。」


「じゃあ   私、今日の夜の仕事あるんでこれで失礼します。」


「うん、じゃあ、また会社でね」






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