第4話課外授業

昨日先輩が三年間の部活生活に終止符を打ち今日から本格的な受験生となる。受験戦争はとても過酷で彼女には僕に付き合ってられるほどの暇はない。もちろん今日から部活も引退するとないので僕は今日から一人で帰ることになる.....はずだった。

「ほら、早く帰るわよ。」

下駄箱を出ると聞き覚えのある女声が聞こえた。声のした方を向いていると肩より少し長いサラサラな黒髪とスレンダーで魅力的でありながらどこか凛々しい体系を持った先輩がそこに立っていた。

「先...輩...?どうしてここにいるんですか?」

無意識のうちにそんな質問を投げかけていた。

「ちょっと、私をこの学校の部外者みたいな言い方で言わないでよ!」

すこし怒った調子で僕に突っ込んできた。

「ほら、行くわよ」

急かされて外に出ると空がオレンジに染まっており、様々な部活の生徒が下校し始めていた。

「なんでこんな時間に学校にいたんですか?」

信号が赤に変わり、ふっと思った質問を先輩に投げかけてみた。

「大学進学希望者には放課後に特別授業がほぼ毎日あるのよ。あなたも大学に行くなら来年受けないといけないわよ?」

「ちなみにどれぐらいあるんですか?」

「入試直前まで毎日あるわ。先生が出張とかの時はないらしいけどね」

そういうと信号が変わりまた歩き始めた。

「大変そうですねえ...嫌だなあ。僕も来年受けないといけないのかあ。」

そう落胆したが一つ気付いたことがあった。毎日この時間までそれがあるのならばまたこれまでと同じように一緒に帰れるのではないか。

「先輩、その課外授業があるということはこれからも一緒に帰ってもらえるんですか?」

「そうよ?昨日も言ったじゃない。どんな耳してたのよ。」

そういえば別れ際に何か言っていたが環境音でかき消され何を言っているかわからなかったのを思い出した。

「じゃあ、私こっちだから帰るね。」

先輩を見送り空を見ると太陽がほとんど沈んでいた。

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