第2話 先輩と僕

 練習の後憧れの人である神前弥生先輩と一緒にいつも帰っている。たったの十五分ぐらいのことだが僕にとってはこれのために部活に行っているといっても過言ではない。神前先輩とは中学時代に知り合い、少しSながらも丁寧に指導してくれる良い先輩だ。先輩が周辺で一番頭の良いと言われている高校に入ったのを知り自分もそこに入れるように勉強をし続けなんとか合格することができ同じ部活に入ることもできた。そしてある日一人で帰っているのを見かねた先輩が声をかけてくれて帰りを共にするようになった。


 今日も練習が終わり靴を履き替えて外へ出ると先輩が待っていてくれた。

「おそかったわね」

きつい言い方に聞こえるがこれが通常運転である。それから話しながら駅に向かって歩いているときにふっと今日の言葉を思い出した。

『相手はあっちが決めるらしい。』

無意識のうちに言葉が出かかった

「あ、あの先輩...」

「ん?」

先輩の言葉に我に返り慌てて発言を取り消した。

「あ、いやっやっぱなんもないです」

「そうなの?ならいいわ。」

先輩は不思議そうにそう返した。

 寝る前にスマホを見ていると先輩のトークルームが目に入った。

はたして僕を選んでくれるのか。もし僕を選んでくれなかったら誰を選ぶのか。その前に先輩は僕のことをどう思ってくれているのか。いろいろなことが頭に浮かんだままいつの間にか寝落ちしていた。

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