第7話 謎の声の正体と招待

『?..聞こえていない?』


聞き間違えでは無い。女性だと思われる平坦だが綺麗な声だ。


一人でいることの辛さからイマジナリー彼女を作ってしまったかと思った。


『き、聞こえてますよ。お嬢さん』


コミュ障からすれば完璧な切り返しだ。多少どもってしまったが。


ちなみに祈祷しながらのテレパシーで通じている。なので神か俺より高位存在だろう。


『私500歳は生きている.....だけどお嬢さん?』


おっふ、女性に歳に関係する話は厳禁だ。だって本に書いてあったからな。


本はいい。色々な知識や、アドバイスをくれる。


前世の俺は本が好きだった。たくさんの本を読、知識を蓄えた。なので今の状況も想定内だ。


俺の愛読本だったひとつ「コミュ障のコミュ障によるコミュ障のための会話マニュアル1~そして俺はリア充に~」


どこかの映画のタイトルのような題名で胡散臭さが拭えなかったが、内容は素晴らしかった。


このシリーズの1は彼女を作るためにというテーマだ。ちなみに二と三は、彼女が出来てからと、結婚してからがテーマ出できている。


2に上がるのが出来ずに多くの男子たちが諦めた。俺もその一人だ。


だが、1を読んだ回数なら負ける気はしない。全て暗記するほどに読みに読み返し練習した。その成果を今試そう。


『俺はロートと言います。貴女の名前を教えてください。』


完璧だ。答えられないような内容はスルーしながらの自然な流れで相手の名前を聞き出す。


『私はニンフィア...お願いダンジョンに来て』


会話が一方的に途切れた。え、これで終わり?


ダンジョンが何処にあるかとか教えて欲しいんだが?そしてもっと話したかったです。





それから一週間が経った戦闘中のこと。また何かと繋がる感覚を得た。


『やっと繋がった。...聞こえる?』


いきなり話しかけないで欲しい。危うく声に出してゾンビに見つかりかけた。


『少し待ってください』


『わ、、、た』


聞こえにくくなったのは、祈るのをやめたからだ。


俺は基本シングルタスクしか出来ないのだ。今までの会話を簡単そうに行っているが祈祷には案外集中力がいる。

しかもどこぞのゲームのように祈りだけで回復したりはできない。

戦闘では祈祷スキルはクソだが、女性と会話出来ているだけで育てといて良かったなと思える。




塔に戻って祈る。スキルは融合されたが使えなくなった訳では無い。さて話そう


『お待たせしました』


『うん..大丈夫』


声だけだがめちゃくちゃ可愛いんだが?でもトーンの変化がないから感情が読み取れん。


『...前も話したけどダンジョンに来て欲しい』


『なぜですか?』


『封印...されているから』


またこのパターンかい。俺が会話する人の封印率100%なんだが?まだ二人目だけど。


『誰から?』


『..お父さん』


新手のDVなのか?封印が流行?


『お父さんの名前は?』


『ルシファー。...吸血王と呼ばれてた。』


どうしよう。思いっきり関係者なんだが?


はっきり言うと、女性と話せたことは嬉しかったが、胡散臭かったり、命に危険がありそうなら無視を決め込もうと思っていた。が逃げ道が絶たれた。


『...貴方はお父さんに似ている。だから、弱っている私でも念話が届いた。』


しかも関係者だとバレてるー


ルシファーのやつこの状況も予想していたのか?

だとしたら人間?不信に陥りそうだ。


あいつの娘なら俺の姉のようなものだろう。言葉崩そう。


『ダンジョンは何処にあるんだ?』


『...この山の頂上から入れる。助けて欲しい。もう1人は嫌。』


『わかった。どの位時間が掛かるのかわからんが行く』


『待ってる。...ありがとう』


この言葉だけでバフがかかったぜ。


さあまずは墓地からの脱出だ。



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