第4話 初めての進化

「それで本題なんだけど、僕の魂を吸収してくれないかい?」


は?どうやって?


「どうやって?思っているね。やり方は、後で説明するよ。説明する前に、お願いがあるんだ。」


『何をさせるつもりだ?』


「そんなに心配しなくてもいいよ。ただ、僕の妻を殺した神を封印、もしくは、殺して欲しい。」


こいつ頭大丈夫か?言葉矛盾してね?


『むり』


「そんなこと言わないでよ。僕の魂を吸収するんだよ。神を殺すぐらい簡単さ。」


『本当か?』


「うん」


あのイケメン顔を殴りたいが、人魂が存在しなかったり、神にも勝てるということが嘘であれ、本当であれこの話に乗るつもりだ。それ以外の選択肢を思いつくことが出来ないしな。


『なら頼む』


「僕の魂を吸収してくれるのかい?」


『ああ』


「やり方の説明はしないとね。」


『頼む』


「僕が君に名前を付けてから死ぬからその瞬間に魂を吸収するんだ。魂は、見えているよね?」


『見えている。やっぱり死ぬのか?』


「うん。どの道、後100年も生きられそうにないしね。」


『...そうか』


感情の起伏がないからわからんが、俺も案外寂しかったのかもしれない。


前世も、高校生活はぼっちだったが、親しい人が高校以外に、一人もいないわけではなかったからな。


「なんだい?クールなのかと思っていたがそうでもないんだね。」


死んだじいちゃんも「蓮は、感情の振り幅が大きい」とか言ってたっけ。


でも、今感情の起伏がないからわからん。そして、何回このフレーズを使ったのかもわからん。


『名前をつける意味は?』


「神や、高位な存在から名を貰うのは、貰う存在の使徒になる時だね。血名と呼んでいるよ。使徒になったら、その存在の一部を得て、スキルを得たり、能力が上がったりするけど、神からの頼み事があるね。」


『頼み事?どんな?』


「邪神は、贄を捧げるのが一番かな。あとは、他の使徒を殺せとか。あ、加護とは別物だからね。」


『俺の場合はどうなるんだ?』


「神を殺すことだけど、無いようなものだよ。あと君の場合は種族を強引に吸血鬼の魂に変えるから副作用があるかもしれないけどね。じゃあ始めるね。」


今、とんでもないことを口に出された気がするが、全身を杭で打たれていて、体を動かせないのにどうやって死ぬんだろうか?と、見ていたら体から凄い量の血が出て、それを、俺に纏わせるように持ってきた。


『俺には干渉できな..?!』


その血は、俺に干渉し、人魂の表面から沈みこんできた。


【種族が吸血人魂に変化しました】


『くっ..なんだこれ?』


種族が変わり、転生した時の、記憶を思い出した時のようにルシファーの記憶の一部が映像のように流れ込んできた。


剣や魔術の鍛錬をした場面、魔物や人などと戦う場面、そして、妻が殺される場面。


「じゃあ頼んだよ。命名『ロート』」


そうしているうちに、準備が整ったのか名付けをされた。まだ、気持ち悪いが、気力を振り絞りスキルを発動する。


『魂吸収』


【名前がロートに変更されました】


【吸血人魂のレベルが上限に達しました進化をしますか?】


気持ち悪いのが落ちつたな。進化するか。


『進化をする』


急激に眠くなってきた。そして、そこで意識が途切れた。








目が覚めた。


「がらだがぁる」


声がおかしい。しっかり話せない。進化したはずなのに。ステータス確認するか。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

名前 ロート(鈴宮蓮)


種族 グール

レベル 1

職業


体力50/50

魔力100/100

攻撃力30

敏捷20

精神15

器用10

運10


アクティブスキル



パッシブスキル

始祖の血脈 (使用不可)


ユニークスキル

言語翻訳


称号

異世界に落ちしもの 吸血王の使徒

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あれ、聞いてた話と違うくね?


神どころか、記憶で見たどの魔物にも勝てそうにないんだが?


あれ、俺騙された?


やっぱり、イケメンは信用できんわ!




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