第20話 ご褒美?

「奏多。これからセフィロトの樹が吸い上げた記憶を解放する。僕は手が放せなくなるから、その記憶を受け止め、元の持ち主たちに還るように導くのは君の仕事だよ。どんなにおぞましいものを視ようが耐えなくちゃ出来ない」


優仁は落ち着いているが、緊張が伝わってくる。


「わかってるよ…さっさとやれ。そして、解放してやろうぜ…コイツ自身を。人の記憶を吸い上げなくちゃならない呪縛からな」


ニヤリと笑い応えると、優仁は不意にくだけた口調で。


「さっさとやれ、優仁って言ってくれない?」


「は?うるせえ、さっさとやれ!ちゃんと出来たらご褒美やるから」


「それって僕の額にくれたキスみたいなもの?」


「なッ…!」


決戦を前にして軽口を叩く彼に怒鳴る。しかし、相手の方が一枚上手だった。まさかあの時起きていたとは!


俺が真っ赤になっていると、優仁は笑いながらセフィロトの樹に向かって両手を広げる。


「ありがとう、奏多。リラックス出来た。いくよ…!」

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