第12話 決意

礼拝堂からアンジェラを抱えて飛び出すと、安全な場所まで退避する。そこへ、駆け付けた静香が合流した。


「静香、悪い。彼女の手当てを頼めるか?有彦が礼拝堂でバケモンに捕まってる。俺は助けに戻る」


アンジェラを託された静香は、俺の言葉に眉をひそめる。


「あの男に助ける価値があります?化け物が好き勝手に犠牲者を増やすのを、彼は見ていただけなのでしょう?共犯も同じなのでは?」


「…だからってほっといてどうすんだよ。お前は学園の生徒たちだって避難させなきゃならねえんだぞ、ここでお喋りしてる暇はねえだろ」


「…わかりましたわ、お兄様。では、必ず化け物を倒して下さいね」


まだ何か言いたげな妹であったが、そう言い、俺が有彦を助けに行くのを後押ししてくれた。


有彦。


あの男と、元の有彦の精神は別物だと俺は思っていた。しかし本当にそうなのだろうか。


再び、礼拝堂の扉の前に立つ。中からはなんの物音もしない。俺がゆっくり扉を開くとーーそこにはバケモンの姿も有彦の姿もなく。ただ、祭壇の下に地下へと続く階段がみえた。


行くしかないだろう。

俺は覚悟を決めて降りていく。行く先が奈落であろうとも。

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