聖女ってなんだろう

 聖女... ってなんだ?聖女って職業として成り立つものなのだろうか? こういう物って見せてもいい物なのだろうか? そこら辺もよく分からない

 悩んでいると司祭さんが近づいてきて「どうしたの?」という感じで聞いて来たのでこのさい色々質問してみる事にした まずは職業は見せてもいいのかという質問


 「職業...中身によります、レア職業だったらあんまり開示しない方がいいですし普通の...例えば職業が剣士だったらむしろ開示してパーティーを募集した方がいいし...」

 『パーティー?』

 「パーティーはお仕事とか依頼を複数名で受けるグループを作る事が出来るの、これは一応ギルドが違っていても組むことが出来るんだけど...パーティーとは別でとっても大きくグループを組んでるとクランっていうグループになるわ、目安としては4人ぐらいで固定なのがパーティーで十名以上のグループをクランって言うのよ」


 よくインターネットのゲームとかであるやつか、ただパーティーっていうのは仲がいい人たちで組む奴なのかな... 黛はもうクランとかパーティーとか入っているのかな? クランは僕には無理かな 喋れないしそもそも人見知りだし パーティー...も...正直厳しい 多分そういうのってちゃんと連携とか必要だろうし... このゲームは一応魔物を倒したりアイテムを集めたり、そういう楽しみ方もあるからパーティーとかはそういう事をちょっと効率よく楽しく出来る為の...機能なのかな?


 「話を戻します、レア職業ですとそのパーティーとかクランに所属した時にコキ使われたりしますので...あんまり信用が無いと見せる事すらしない方がいいかもしれません」

 『なるほど』


 レア職業...レア職業なのかなぁ...なんだろうな、つまりあんまり見せるべきじゃないって事だ 黛に見せて一回確認して貰った方がいいかな、後こういう職業って何に関わってくるのだろう?


 「レア職業だとなぜこき使われるかと言うと...職業によって出来る事が変わってくるからですね、先ほど例えに使った剣士だとこのゲームの特徴の一つである魔法を使う事はおろか他の武器を使う事すらできません、剣一本になってきますね レアな職業だと色んな事が出来たり剣士の上位職業というのに最初からなれるともっと強い剣士になってたりします 簡単にいうと色んな事が出来るタイプの職業と一つに凄い特化した職業の二種類があります、どっちにしろ大変ですけど」


 『そういう職業の効果ってどうやって調べれますか?』

 「職業の方に書かれていると思いますよ」


 聖女って見ただけで一回閉じちゃったからちゃんと見てなかったや、もう一度ちゃんと見てみて確認してみよう


 『聖女』

・支援魔法に長けた職業 支援魔法の効果が数倍にもなるが代わりに武器を持つと攻撃する力が圧倒的に弱くなる 


 うーん... うーん...微妙...なんかすっごい微妙な感じがする 支援魔法って事はソロで動けないって事じゃん 魔法が使えるのはいい事だけど支援魔法に縛られるみたいだし ちょっと悲しい ただ悲しいんだけどやっぱり楽しみ 


 「これでチュートリアルを終わりですね...他に聞きたい事はありますか?」

 『特に無いです、ありがとうございます。』

 「はい、気になる事があったらいつでも来てください、私に会ってくれれば大体の事はお教え出来ると思います」

 『それじゃあ...おすすめのギルドはなんですか?』

 「おすすめですか...うーん、自分の目で見てみるといいですよ」


 自分の目で見る...か 黛は何処のギルドに入ったのだろうか 私の職業を生かすならどのギルドに入ってもパーティーなりクランに所属する事が出来たら何処でもまぁまぁ活躍する事が出来そうなスキルだ、ただ自分で戦え無さそうだしそういうのも容認してくれる人って居るのかな 簡単に言えばお荷物だしね?

 なんて考えつつも神殿の奥の部屋から退出して外へと向かう 少し薄暗い部屋に居たからちょっと外が眩しいと感じつつも黛をキョロキョロと探すと簡単に見つける事が出来た やっぱり知っていて見て慣れている顔っていうのは見つけやすくて楽だね ただ三人ぐらいに囲まれて喋ってるなぁ 知り合いにあってそのまま話している感じかな じゃあ僕はこのままギルド探しの方にシフトしようかな 


 邪魔しちゃ悪いしそのまま一人で行こうかな、と思いながらぼーっと外を見ていると黛に簡単に見つかってしまい結局私の一人行動は無くなってしまった 悲しい


 「お、終わったか、どうだった?」

 『どうだった...うーん、まぁまぁ?』

 「まぁまぁってなんだ...後でちゃんと教えてくれ」


 レア職業について少し質問したいけどこの周りにいる人たちにあんまり聞かれたくない どんな関係だろう、男の人が一人と女の人が二人 二対二でちょうどいいだろうし私はこの辺で...と移動しようとしたら黛に首根っこを掴まれた 放して欲しいと目で訴えると「逃げるなよ?」と念押しされて離された 逃げれなくなってしまったので大人しく置物になっておこう 


 「その可愛い子はどうしたの?誘拐してきた?」

 「人聞きの悪い...こいつは俺の知り合いだ...」

 『白って言います』


 そう言いながら挨拶をするとなぜチャットなんだ?と思ってる様な顔をしている男の人と可愛い物を見る目をしている女の子が居る もう一人の女の子は正直...無表情で分かんないけどジッとこっちを見てくる な、なんか気まずいので目を逸らしておこう 


 「白ちゃんて言うのね、薫とはどんな関係なの?」

 「...」


 珍しく黛が困った様にこっちを見てくる 普通に友達って言えばいいのに それとも言いにくい理由でもあるのだろうか? 取り合えず僕が弁明してやるか、しょうがない


 『黛とは友達ですよ?』

 「へぇ、って事はうちの学校の子?それとも中学が一緒とか?」


 高校が一緒なのか、一応同じ学校といえば同じ学校になるのかな ただ僕はもう学校には行ってないからね だから黛はちょっと困ったのかな? あんまり気にせず中学校が一緒だったとか言えばいいのに...? それとも僕学校で変な噂でも立っているのだろうか?


 『中学校だけ一緒だったよ』

 「へぇ!どこのクラスだった?」

 「こんな可愛い子居たっけ?」


 薫が頭を抱えた なるほど、高校からの友達じゃなくて中学校にも居たのか 頭を抱えた理由も分かるけど別に中学校から居るのなら僕の事も知っているだろうし話してもいいんじゃないか?と思ったけど薫はちょっとまずそうな顔をしている うーん、どうしようか 黛的には話すのは不味いって思ってるみたいだしここは誤魔化しておこうかな


 『内緒~』

 「ふーん?内緒...?」

 「おい黛、明日教えろよ?な?」

 「どうしようかな~」


 いい感じに誤魔化せたんじゃないだろうか、なんて思ったけど無表情の子がじーっとこっちを見てる この人苦手かもしれない 誰なんだろう 皆同じ反応してたって事は皆同じ中学って事だから...多分だけど全員顔は知っているはずなんだよね... まぁいっか


 「まぁいいよ、俺の名前は海斗だ、よろしくな、フレンド送っていいか?」

 「私の名前は愛よ、白ちゃんSNSとかやってる?L〇NEとかやってない?」

 「...黒って呼んで...」


 名前を聞くと流石に聞き覚えがある、海斗は確か数回だけ喋ったことがある よく黛と喋っているのを見た事がある 愛って子は喋ったことは無いけどちょこちょこ見た事があるはずだ この人も黛と喋っていたから...つまり中学校から黛と一緒に居る組? でもこの黒って人は...名前じゃないよね、私の白って名前と被ってるけど全然知らないなぁ~


 「今日はこいつが初心者だから慣れさせる為にゲームをさせているだけだ、人見知りだから出来るなら二人でやりたい、OK?」

 「はいはい、分かったわよ~、今度ちゃんと紹介してよね?」

 「...こいつがいいって言うなら構わないが...」


 そんなことを言いながら三人は歩いて何処かに行った ちゃっかり三人からフレンド依頼が来ていたけどこれは承認した方がいいのかな?うーん、よし一旦放置しよう!後で考えておこう 忘れない様にしないといけないけど

 フレンド欄を見ながら考え事をしていると黛が勘違いをしたのか急に「すまんな」と謝ってきた、いきなりどうしたんだろうと思ったけど私の心情的に中学に知り合いに会う事を嫌だと勘違いしたらしい

 確かに嬉しいとは思わないけど別に私を虐めていた張本人が出てこない限り特に嫌悪感を出したりしないと思う なんやかんやで事情を知らない人とかもいるからね、多分?


 「お前がそう言うのなら特に何も言わないが...それで職業はどうだった?」

 『職業は...レア職業ってやつらしいよ』

 「レア職業?それは中身を聞かない事には何も言えないが...いまだに出た事がない職業もあるらしいから本当に何とも言えないな」

 『えっとね、聖女って職業だったよ』

 「聖女か...聞いた事もない職業だ、正直あんまり他人に言わない方がいいかもな」


 やっぱり黛もそう思うんだ だったらどうやってギルドとかパーティーとか探そうかな 一人で楽しもうと思っていたけど支援魔法に長けた職業だし正直使いこなしたらそれも面白そうなんだよね 一人で楽しみたいけど職業は支援向けという完全な矛盾をどうにかしないといけないなぁ


 「うーん、本当なら今からギルドを見回ったりお前のパーティー募集とか出そうと思っていたけど話が変わるな」

 『まぁ別に僕はソロでも楽しめると思うし大丈夫だと思うよ』

 「おまえ...」


 実際言っている事は確かだ、確かに職業はソロ向けじゃないがこのゲームは案外クエストやら魔物退治をしなくても成り立つ様にはなっているので楽しめる事は出来る それ以外にもイベントとかもあるし 

 ただ正直この発言の半分は強がりだ 今の私の状態は特殊な条件が重なりすぎているので黛には負担が大きすぎると思う だから自分でぼちぼち解決しながら遊べばいいんだと思ってもいる

 とか考えて居たら黛に頭を叩かれお前は馬鹿か?という様な目つきで見れられている 僕はなんで叩かれたのか全く分からないけど取り合えず叩き返す事にした


 「お前は馬鹿か?俺は一緒に遊ぼうぜと言ったんだぜ?それだったら俺のクランに来いよ、お前がいいのなら」

 『えぇ?僕喋れないし職業の効果も言えないし迷惑じゃない?』

 「どうせ放置していたら一人でやるんだろう?それだったら来いよ、一応さっきのメンツも居るからお前がいいのなら、っていうのが前提だけどな」


 確かにこのままだったら一人で適当にやる気だったけど 誘われて断るのもなんか嫌だし...じゃあ入ろうかなぁ? そのクランのメンバーが僕の事をなんて言うか分からないけど 喋れないし職業明かせないしそれに関わりがあるのも黛だけ 絶対受け入れなれないと思うんだよなぁ

 そんな事を想いながらも僕はクランに入る事を了承した クランに入るのとは別で所属するギルドも決めないといけないけどギルドに関しては急いで入らないといけないものでも無いし黛とかに聞きながらゆっくりと加入する事にしよう

 

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