チュートリアルを受けに行こう
どうしよう...これもゲームの仕様だと言うのなら今頃インターネットでとても話題になっているはずだ だけど...体が変わるなんて聞いた事も無いしこういう事が起きるなんてインターネットに載っている様な小説でもない限りあり得ないはずなんだけど...実際問題、自分に起きてしまっているのだからこの現実を受け止めないといけない
冷静に、出来るだけ冷静にこの事実を受け止めて...この問題を対処しないと...取り合えずご飯を買いに行きたいけどこの状態で外に出たら目立つ、多分異常なほど目立つ この日本だと奇抜な髪の色をしているだけでも目立つのに真っ白、それに普通だと付いていない猫耳までついているんだから
幸いだったのは僕の両親は出張していて海外に居るおかげでこの家には一人しか居ない事だ、そのお陰で多分バレる事はないだろうけど...僕の最低限の日常生活はどうしよう もう全てを諦めてインターネットの世界でゲームしておこうかな...うん、そうしよう 夜ご飯を買う予定だったけど出前にしておこう
なんて思いながら手持ちの携帯端末で出前を頼んでいるとメッセージが飛んできた
『もう「valhalla」始めたんだよな?一緒にやろうぜ』
メッセージを送ってきたのは幼馴染の橘 薫だ この薫という男は僕をこのゲームに引き込んだ張本人でもある こいつは小学校中学校、ぎりぎり高校まで一緒でよくゲームで遊んだり外で遊ぶ中だったのだけど高校に入って僕が不登校になってからはよくこの家で一緒にゲームをしたりして遊んでいた 「valhalla」が流行りだしてからはこのゲームをずっとプレイして遊んでいるみたいだ
僕としては今、自分の体に対する問題もあるからゲームなんてしてる暇は無いんだろうけど、出前を頼んだら現実逃避だ! 急いでメッセージを変えそう
『喋れないけど大丈夫?』
『チャットなら出来るだろう?問題無い』
『りょーかい』
『オッケー、じゃあ一時間後に集合で、後で名前教えてくれ。最初の街で待っているから』
『分かった』
簡潔に返してまた出前のメニューを見る こういう時は簡単なお寿司にしよう さっさと頼んで... 気づいてしまった、生理現象...とお風呂...どうしよう? 最悪トイレはなんとなくで...何とかするとしてお風呂...こっちは現実を更に直視しないといけない気がして...うん!考えない様にしよう! その時の僕に任せようかな!
◆◇◆◇
「...美味しかった...」
出前のお寿司を食べ終わってベッドの上でくつろいでいる 自分の声に違和感を感じるしいつもなら食べれる量が食べれないのにも違和感を感じる 本当に変わっちゃったんだな... だめだ、一人で冷静になればなるほど現実を見てしまう よし、報告とお問い合わせだけしておいてゲームしよう 薫を待たせても悪いし
VRゴーグルを装着してベッドに横になる 「valhalla」を起動すると一度真っ暗な世界に入った後に光が見えてくる それと同時に選択画面が出てくる
『セーブ時と同じ場所にスポーンしますか?』『最初の街にスポーンしますか?』
ん?なんだこれ...って思ったけどこれは下調べした時に見た事があるぞ...確かセーブした場所が危険な場所だった場合そこにリスポーンせずに最初の街に戻る事が出来る...らしい へぇ、こういう選択画面になるんだ まぁ僕はどっちを選んでも最初の街に戻れるからどっちでもいいんだけど
セーブした時と同じ場所に戻ってきて薫にメッセージを飛ばす
『どんなキャラクターか教えて欲しい』
『ん?顔はそんな弄ってないから簡単に分かるはずだぞ』
顔はそんな弄ってないって...普通こういうゲームは自分の好みのアバターを作るはずなのに...これだからイケメンは... 本当に腹立つ気持ちもあるけど...まぁ分かりやすくていいや
待ち合わせは街の中にある噴水の近くになった 僕が到着すると見知った顔が噴水の近くのベンチに座っていた 薫に現実と何も変わらない気がするんだけど 何故か知らないけど黛にこのキャラで出るのすっごい恥ずかしく感じてきた... うーん、体調が悪いって言って逃げたいけど...ここで逃げると次から一緒にゲームする時に毎回逃げないと行けなくなってしまう 悩んでしまうね なんて考えて居たらメッセージが飛んできた
『見つけにくいなら俺から会いに行こうか?取り合えずキャラの特徴を教えてくれよ』
キャラの特徴...猫耳白髪ロリの女の子...なんて言ったら一発で見つかるだろう、それくらい私の種族はレアなのだから でも...さっきも思ったように案外恥ずかしい...ぐぬぬ...諦めよう、どうせこれから何回も遊ぶことになりそうだし チャットを開いてメッセージを送りつける
『今から近づくからそれが僕』
『そうか?分かった』
思いっきり息を吸って吐いてを繰り返した後に意を決して歩いていく 黛は最初にこっちを見た後目を見開いてその後ニヤニヤしながらこっちを見てくる やっぱり腹痛とか言って逃げたらよかったかも...
「よう、可愛いな」
『うるさい、むしろなんでそっちは何も弄ってないの?』
「自分の顔には困ってないからな」
これだからイケメンは...ただ顔は弄ってないにしても体格とかはちょっと大きくなってたりする?これはステータスが関係しているんだろうね 正直現実の姿にちょっと筋肉が付いた程度だ、まぁ最近ちゃんと会えてないから案外ステータスじゃなくて筋トレしたっていう説もあるけど そんな事はどうでもいい
『僕始めたばっかだけど何をするの?』
「まずギルドに登録はしたか?」
ギルドに登録...そういえば聞いたばっかだ、聞いただけで結局特に何も調べなかったけどそういう物もあるのだろう
「ギルドは具体的に三つに分かれている、冒険者ギルド、魔法使ギルド、最後に商人ギルドだ」
『具体的に何が違うの?』
「所属している人の職業...かな、このギルドに入るまえに一度神殿に行って職業を貰うんだが...まさか...それもまだとか言わないよな?」
『なにそれ?』
神殿?職業?それもチュートリアルにあるのだろうか 生憎僕のこのゲームの始まりは草原だったので神殿とかいう場所には一ミリも触れてない 職業か...それは勿論選べるんだろう ただ何があるのかが気になる
「...どうやってかチュートリアルをスキップしたのか?...まぁいい、それじゃ神殿に案内するから職業を貰ってみろ」
『分かった』
「それにしてもその姿...噂のレア種族か?昔から運だけはよかったからな」
運だけとはひどいな まぁ僕もそう思うけど それにしても黛がボソっといってたけどやっぱり神殿やら職業やらのうんぬんかんぬんは最初のチュートリアルに終わらせるべき事みたいだね でもそうじゃないと街に入る時に身分証を出せとか言われないでしょ、いきなり持ってない物を出せと言われても無いしな... 運営さんが救済処置作っててくれて本当に助かった
「そういえばフレンドは居るか?まぁ昨日から始めたって言っていたし居ないだろうから試しに俺をフレンド登録してみるか?」
『どうやってやるの?』
「キャラクターを視野に入れながらメニューを開くだろ?そしたらフレンドのタブはあるか?」
『ここを開けばいいのか...』
フレンドのタブを開くと フレンド一覧 新規フレンド検索 フレンド依頼 の三つがあり何故か知らないけどフレンド依頼の通知がパンパンになっていた どうして?
「ん?なんだその顔は...そこで新規フレンド検索って所を押してMYZMで検索してみろ」
取り合えず沢山の通知は無視してフレンド依頼を送信してみる するとすぐに承諾されてフレンド一覧に MYZM(オンライン)と表示されている 名前の横に自分が使っているキャラのアバターでアイコンが出来るので誰が誰か分かりやすいね...
どんどん通知が増えていく...え?全員知らない人なんだけど...でもよく周りを見たら通知に表示されているアイコンと同じ顔の人が何人かいるって事は...これは僕を見てフレンドを送っているって事?
でも今の僕に知らない人とやるほどの心の余裕なんか無いしそもそも喋れないから...ごめんなさいだけど後で全員拒否しちゃおう 喋れないと迷惑かけてしまうかもしれないしそもそも初心者だからね?
なんて思いながら一人ずつ拒否していくと私の事を見ていた人たちが何人かガックリしている ごめんね?でも喋ったことも無いのにいきなりフレンドを送ったら大半の人は拒否すると思うよ?
神殿に向かいながら街の風景を見ていると本当に異世界に来た様に感じちゃう、でも売っている物は知っている物だし書いてある言語は全て日本語だ、一応言語設定したらその国の言葉になるらしいし他の人が喋っている言語も変わるらしい ただこれは今の所変わるって聞いただけで本当かは分からない、後々検証したら面白そう
「あそこに見えるのが神殿だ、本来なら最初にあそこでチュートリアルを受けるはずだが...まぁスキップ方法があったんだろう」
『あそこで職業を貰うんだね?職業って何があるの?』
「それは俺から話を聞くより直接チュートリアルを受けた方がいいだろう、受けれるか知らないが」
なんて無責任な男なんだろう まぁいいんだけど 実際受けれなかった時はどうしたらいいんだろう? 今考えてもしょうがないし取り合えず神殿の中に入っていこう
神殿は中が広く中では今来たばかりのプレイヤーが司祭から説明を受けている様子が見受けられた 僕もあそこに最初から居たかったけど現実は非情だよね
「あら?どうしました?」
「司祭長、チュートリアルって二度目を受ける事が出来ますか?」
「勿論です、あら?その子は...見た事ないですね、NPCの子でも連れてきました?」
『NPCとは失礼な』
「あら...ごめんなさいね?でもそんなに綺麗なら印象に残ってるはずだけど...私じゃない時に来たのかしら?」
「いや...こいつチュートリアル受けてないみたいで」
「...そうですか...いいですよ、こちらへどうぞ?」
司祭長って言うのかな?その人に案内されて神殿の奥へと通される さっきのプレイヤー達はさっきの広い所に居たけど...どうして私は奥に通されたんだろう?
奥の部屋の様な場所に行くと対面している椅子がありその片方に座る様に促される そう言えばこういうチュートリアルを管理する人ってNPCだと思ったけどあんなスルスルと受け答え出来ていたしそもそも黛と認識があったし...あ、因みに黛は奥の部屋にはついてこないで神殿の入り口で待っていると言って待機しはじめた やっぱり薄情だと思う
椅子に座って待っていると司祭長が何か分厚い本を持ってきて目の前に座った 今からチュートリアルとやらを始めてくれるのだろうか ちょっと楽しみである
「では...お名前を聞いてもいいですか?」
『あー...えっ、『白』っていいます』
「では、白さん...貴方は本当にプレイヤーですね?」
『え?』
いったいどういう事だろう、というかこのゲームでプレイヤーである事を疑われる事案があるのだろうか? まぁこういう司祭みたいな役職?をしていると色々このゲームについて知っているだろうしそこら辺も聞いてみたい
『プレイヤーですよ?』
「そうですか...チュートリアルは本当に受けてないんですよね?」
『はい』
「...おかしい...このゲームはそういう機能が無いと聞いていたのですが...まぁいいでしょう」
という事はやっぱりバグになっちゃうのか... 僕が初めてっていうのは解せないけどもしかしたら既に第二の被害とか出てるかもしれないしちゃんと報告して運営さんにはこういう事は無いようにしてもらいたい そして僕の姿が変わったのは一体どういう事なのかはっきりちゃんと教えて貰いたいよね
色々質問をぶつけられた後はちゃんとチュートリアルを受けた まずはこのゲームの世界の説明を受けた この世界「valhalla」は特に大きな国とかがある訳では無いが魔物...まぁモンスターとかが居る訳で基本的にこれらを倒したりするゲームだ ただ定期的に運営側からプレイヤー達に対してイベントがあるらしい、その時その時で何が起こるかは分からないからこれは公式からのアナウンスを待つしかないらしい
次にギルドの話 ギルドはまぁさっき聞いた通り三つのギルドがありこれに入ると色々お仕事とか貰えたりメリットが入るので入った方がいいらしいが一応入らなくても大丈夫ではあるらしい 問題はちょこちょこ出てくるみたいだけど これから貰える職業によってはそういうギルドに入らないでも大丈夫な物もあるらしい....らしい! 例えばで言うと今目の前にいる人は司祭という職業で特にギルドに入ってる訳では無い しいていうなら神殿に所属?になるのかな
チュートリアルというより説明...まぁチュートリアルが説明みたいな物なのか... 次は職業を貰う儀式をするらしい 場所を変えるのかな?と思ったのだけどこの場で出来るらしいのでそのまま椅子に座っている ちょっと楽しみ
「...終わりました、ではえーとメニューから確認が出来ると思いますので確認してみてください」
メニュー...えーと、メニューの何処だろう?と思ったらプロフィール欄があったのでそこを見てみると確かに職業が追加されたいた いったい何かな?
『聖女』
うーん、よく分からん! なんだ聖女って職業は何ですか? 神様にお祈りでもすればいいんですか?
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