No.70〜No.77
No.70
悲劇その2。
吹奏楽部では、「先代の誰かが失くしたのか、楽譜がない」「アレンジを加えたい」などの理由から、他の楽器の楽譜を演奏することが割とある。
筆者も、「宝島」という曲のアルトソロをサックス全員でやってほしい、という要望があり、吹いたことがある。
No.71
それで何が起こるかと言うと、まあ、もちろんアルト向けに書かれた楽譜なので、管の違うテナー用に読み替えをしなければならないというイベント。
No.72
これが結構に大変。いや、大変なんてものじゃない。発狂しそうになる。そして、虎になる……ことは、ない。(分からない方は「山月記/中島敦」で調べてみてください。高校の教科書に載っていて、一時期学年で「発狂しそう→虎になる」っていうのが、流行りました)
No.73
まあ、とりあえずめちゃくちゃ大変。
「えっと、アルトのドってことはー、テナーだと、ファ? いや、ソか? あれ、待って、ドってそもそも何? テナーのドって何だったっけ。ファ? え、今自分何言ってんの? ドがファって何?」
ってなる。
(「こいつ何言ってんだ?」ってなった方は、とりあえず、楽譜読み替え中の過去の筆者がめちゃくちゃ混乱していることだけ理解していただければ幸いです。
大丈夫です、上述の「えっと」以下の言葉は、筆者も何言ってんだ状態なので。強いて言うなら、「テナーのドって何だったっけ。ファ?」の部分は「月曜日って何曜日だっけ?」っていうのと同じニュアンスを持っています。)
No.74
で、テナーはこんな大変な状態なのに、普通に練習してるアルトを見てイラッとする。
No.75
ついでに、読み替えの必要がないバリを見てもイラッとする。
No.76
とにもかくにも読み替えを続けていると、だんだん慣れてきて、気難しい表情をしつつも、読み替えのスピードが上がっていく。
No.77
そんな筆者に、アルトの同級生が放った言葉。
「なんか職人みたいになってきた」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます