第52話 千年前。
「はるかねえさん、来週のお茶会、本当に行くの?」
「うん。まあね。ジュディっていい加減しつこいしね。お父様にも頼まれちゃったからさぁ」
「そっか。ねえさんがいいならいいんだ。俺もちゃんとねえさんと結婚したって王宮にも認めて貰いたいしね」
「あは。ノワ。大好きだよ」
「俺も。大好きだよ」
王宮からしつこいくらいのお茶会のお誘いにいい加減根負けしたあたし。
王妃のジュディってお父様の妹さんの娘、つまりあたしの従姉妹なんだけど、昔からけっこう強引な人だったんだよね。ちょっと苦手。
歳も近い、向こうのほうが少し上だったっけ?
あたしが学校とか通えなかったもんだからあんまり遊んだりした記憶はないんだけどさ。
にしても。
王宮ではあたしの動向をけっこう正確に把握してたってルークに聞いて、ちょっとびっくりだった。
大魔導師イクシア、だっけ。
名前だけは聞いたことあったけど、あたし会ったことない筈? なのになんでそんなにあたしのこと詳しいのか。ちょっと謎だ。
「ねえ、ノワはイクシアさんって知ってるの?」
「イクシアさん? もしかして大魔導師様の事?」
「うんそうそう。その人、かな?」
「俺はあんまりよく知らない、かなぁ。なんだか凄く高齢だとは聞いたけど」
「
もうすっかりこの
「うそー。千歳って、そんなに生きてる人いるの? この世界に」
「姉さんがそれ言う? まあね、信じられないよね普通。ただ、あの人も普通じゃないっぽいからね」
デュネはホットパンツから伸びる生脚を組みなおし、そう言った。
っていうかあんたあたしのマトリクスのままなんだからあんまりそういう露出の激しい服着て欲しくないんだけど? 恥ずかしいから。
「ふふ。姉さんノワールを誘惑されそうで嫌なんでしょう? 顔に出てるよ」
「もうバカ! そんなこと言うならここから追い出しちゃうんだからね!」
「あは。ごめん姉さん許して」
ソファーの上で正座になって両手を合わせるデュネ。
ちょっと小首を傾げ、ウインクして。
「もう。調子がいいんだから」
しょうがないなぁ、もう。
にしても、千年かぁ。
千年前と言うと、ちょうどラギが生きてる時代、かなぁ……。
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