第33話 女神ラギレス。

 真っ白な世界。


 ボクの心の中?


 そう思うけどちょっと違うような気もする。


 ぼく、確かフニウの金緑の瞳に覗かれて、そして……。どうしたんだっけ?



「やほやほ。やっと会えたね。はろー。あたしが女神ラギレスだよ?」


 わ!


 いきなり目の前に女の子。


 真っ白なキトン、金色のふわふわの髪。


 そして、その顔は……、ボク?


 そっくり……。



「ボク、そっくり?」


「あはは。そうだねー」


 女神? どう言うこと?


 その女神さん、フニウみたいにボクのまわりをふにふにと移動しながら。


「ほんとは君がこの世界に来たときに会いたかったんだけどさー。ちょっとまだ早いような気がしてね」


 そう、悪戯っぽい瞳をして舌を出す。


 なんだかこの子、女神って気があんまりしないよね?


「どう言うこと、ですか?」


「あの時に君にセリーヌのキオクを返しちゃってたら、君の自我は完全に消えちゃってたかも、そう思ったからやめたの」


 ああ。それはそう、だったかも。


 ボクは完全にセリーヌになっちゃってたかも、だよね?


「自分がセリーヌだったかも知れないって受け入れてくれた今ならさ、きっと今の君とセリーヌだった君が両立できると思うし、その方が君にとっても良いかもって」


「あ、う、ありがとう、ございます……。ボクの自我、消えちゃう危機、だったんだ……」


「うん。ちょっと危険かも、って。だから待ったの。フニウの中でね」


「あう。でも、どう言うことなんですか? どうしてボクはセリーヌなんですか? 教えてください!」


 納得は、した。ボクはセリーヌだったのだ、と。


 でもそれがどうしてなのかは疑問。


 ボクって、なんなの??


「んー。どこから話そうか。っていうか先ずはキオクを返してからかな。君がセリーヌだった時のキオク、心のカケラ。先ずそれから」



 そういうと彼女はボクの頭に自分の頭をコツンとつけて。


 ボクのほおに当ててる両の手のひらが、柔らかくてなんだか……。


「いくよ。そのままココロを開いててね」


 そう聴こえた瞬間、ボクの心にもう一つ、心の奔流が流れ込んで来た。意識がそのまま流されていくようで……。


 夢を見ているようなふわふわした感覚に包まれた。

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