第31話 魔道王国、ラスレイズ。
ねこ足のかわいいおしゃれな椅子に腰掛けまっているとフロスティとタビィが本を運んできた。
何冊か同時に運べるワゴン? カート? みたいなのを押して優雅に入室するフロスティ。
タビィは隣で扉の開閉担当?
テーブルの横まで持ってきたそのワゴンから一冊の分厚い表紙の本を取り出すと。
「こちらが我が国最古の歴史書、マギ・レイズ・ノミコンでございます」
魔法の文字? で書かれた表紙。皮で造られたその表紙を開き目の前のテーブルに置くフロスティ。
「我が魔道王国ラスレイズの原初のお方からこの本が成立した1000年前までの王統について綴られておりますゆえ」
と、そこまで話し傍に下がる。
ああ、なんだかすっごく格式の高そうな本だよねー。
ボクの感想はそんなありきたりの物。
手触り、も、なんだかいい感じ。
きっと以前にも読んだことが有るんだろうな。前のセリーヌが。
なんだか初めて触るって気がしない。
書いてあるのは古代魔法文字。今の機械文字に変わる前の文字だ。
ああ。文字が浮き上がってそのままあたしの心に流れ込んでくるよう。懐かしい……。
文字が音になって聴こえてくる。可憐なシンフォニーであったり、勇壮なマーチであったり。
心の中で踊るように映し出される情景に、あたしの心もふるえたのだ。
最後まで読み終わり、本を閉じた。
ああ。なんだか夢の世界に居たような気がする。
完全にトランスしてた。思考がボクじゃ無くなってた?
あう。
でも、なんだか本を読むっていうより映像を再生しているような感じでその世界に入り込んでたっぽい。
気分はすっごくいい。若干夢から醒めたばっかりの頭の中にある情報が整理されてない感が残ってるけど……。
内容を要約すると。
この今いる国の名前、魔道王国ラスレイズ。
この国が興る以前、人は人同士で争いばかりしていたという。
そして文明は最終兵器を作り出し、世界は一度滅んだのだ、と。
偉大なる魔機神、機械神デウスによって再生されたこの星で人々は再び繁栄をはじめた。
レイズ王家はそのデウスの使徒。
初代の王、ラウレス・レイズの手によってこの魔道王国が建国された……。
ここまででこの一冊目は終わっていた。
こうして言葉にすると陳腐な気がしちゃうのはボクに物語を語る才能がないからなのか、その辺はちょっとふにゃぁだけど。
トランスしてる間はすっごく幸福な気持ちに浸れてたんだけど、な。
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