第28話 頭の上のもふもふフニウ。
泊まっている旅館、白水荘は街の外れっていうか入り口付近にあったから、中央まではちょっと歩かなきゃだけどそれはそれで楽しみ。
街並みを眺めながらゆったり歩く。
なんだかこうやって初めての風景を眺めながら歩くのって好きだ。
図書館に行くって言ったらシルヴァはなんだか面倒そうに「それなら俺はお前の中で寝てるから。危険があったら起こしてくれ」って。
ボクのレイスの中に潜り込んじゃった。
まあね。
シルヴァは図書館って柄じゃないしさ。
街の中央に行くって言ったらフニウが図書館の場所も教えてくれた。
地図が頭の中に浮かぶ。そこにちゃんと現在地と図書館の場所まで記されていた。
「こんなに便利な機能があったの? フニウ」
「まあね。ここにはセリーヌが来た事があるからね」
ああそうなんだ。
「君のキオクを引き出してマッピングしてるだけだよ。行った事無いところは無理かな」
そっか。そこまで便利な訳でも無いんだ。
それに。キオクにあるのならこの景色を見たことがない様に感じるのは不思議。
でも。その方が新鮮で良いのも事実だけどね。
「そうだ! でもそしたらここにはボクを見たことある人がいるって事?」
「居ないことも無いかな。でも、たぶん大丈夫」
「どういうこと?」
「うんとね。ここの住人には残念ながらそこまで周りに意識を向ける人がいない、から?」
「って、無関心、ってこと?」
「まあ、そう、だね」
そう。やっぱり。
そんな感じはしてた。
ここの住人はまるでほんとにゲームのNPCであるかのように、機械的に仕事をこなし周囲には無関心、そんな雰囲気で。
さっきの無頼漢達のようにこの世界にめげて自暴自棄になる原因にもなってるのかも。
なんだか、ね。
この世界は不自然だ。
「君が考え、感じたことが答えになるんだよ」
フニウはそんな意味深な事を喋ったかと思ったら、ボクの頭の上にとまりくうくう寝息を立てている。
うう。
まあねこのこ、こうしてるとかわいいねこのぬいぐるみみたいなんだけどな。
クリーム色のふわふわな毛並み。
頭を触るとくいっと手に自分から頭を擦り付けてくる。
こんなところもかわいいんだけど、ね。
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