第16話 心の声。

 街に到着した時にはあたりはもうすっかりと更けて。


 っていうか城門、とか柵とかは無いのね。


 あんな危険なモンスターが出る所だったらそういうのもお約束なのかって勝手に想像してたけどそういうわけでも無かった。


「街には教会の加護があるからね。魔は近づかないのさ」


 と、耳元でフニウ。


 え? フニウってボクの心が読めるの??


「え? 何を今更。君の心の声ってものすっごく漏れてきてるからね? べつに覗きにいってるわけじゃ無いよ?」


 えーー?


 あうあうあうあう、だだ漏れ、なの?


「そうだよー。今までだって別に声にだしてることだけしか聞こえて無かったわけじゃ無いし?」


 うう、恥ずかしい……。


「まあそんなに気にしなくてもさ。今君の周囲でそんな声が聞こえてるのって僕とシルヴァくらいだし?」


 え? シルヴァにも聞こえてるの!?


 と、隣でウンウンみたいに首を振るシルヴァ。


 あうあう。


「まあね。これからのことを考えると指向性を持たせる訓練くらいはした方が良いかもね? さすがに王都に行けば念話に慣れてる人間も多いだろうし」


 念話?


「そ。念話。心で会話する方法さ。今君は周囲に念話を撒き散らしてる状態だから、もう少しコントロールしてみてもいいだろうとは思うよ」


 あうあう、お願いしますフニウ様お師匠さま!!


「えっへん。じゃぁ今夜寝る前から早速訓練してあげよっか」


 ありがとーフニウ。




 そんなこんなで街の旅館に到着。ボクたちはそこで部屋も借りれた。え? お金はどうしたって? 宿のご主人がリザードドラゴンの素材の一部をそのまま宿代として受け取ってくれたからことなきを得たんだけど、やっぱりお金、必要だね。


 明日はよろずギルドに連れてってくれるってダントさん。そこで換金とかできるらしいから助かるなぁ。




 少し待たされたけど夕食はリザードドラゴンのステーキ。


 リザードドラゴンって、この世界ではけっこう美味しいお肉として有名らしい。


 だから危険を犯してでも狩をするんだってダントさん。


 っていうかダントさんたちみたいな冒険者的なお仕事してる人って多いのかな?


 さすがにこの世界の事なんにも知らないって思われるのもまずいしね。迂闊に聞くことは控えたけど。


 気になるな。


 なんだかダントさんたちと普通の街の人達の間に、なんだか少し壁があるような気もするの。なんとなく態度がよそよそしい? って感じ?


 まあボクの気のせい、かもだけどね。




 当たり障りのない会話をして。


 美味しい食事に満足したボクはダントさん達と別れ部屋へ。


 まあもちろんシルヴァは同室だけどね?

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