第3話 魔・ギア シルヴァガント。

「うーん。考え込むのも良いけど早く次に行きたいんだけど?」


 ちょっと焦れたような声でフニウ。


 うん。なっちゃったものはしょうがない。っていうかちょっと嬉しい、かな。


 戸惑いもあるけどゲームで女性キャラを選ぶ男性っていうのも普通に多いしね?


 SNSのアバターまで入れたら美少女アイコン使ってる男性も多いし?


 そういう意味だとこれだって普通って言えなくもないよね?


 そんな風に自分に言い訳して。




 衣装ケースの中には多種多様な衣装があった。


 清楚な感じのものから妖艶な衣装まで色もほんと多彩で。


 そんな中からボクが選んだのはちょっぴりかわいい白のフリフリなゴシックドレス。それもミニ。


 フリルのついたハイソックスをガーターで止め、やっぱり白の厚底編み上げサンダル。


 頭にもフリフリなヘッドドレス。


 肘まである白い手袋も絹の光沢が眩しい。清楚なデザインで統一して。


 やっぱりね。


 どうせなら可愛くなりたい。


 ほんとは化粧もしてみたい所だけどやり方わからないしなとか思ってたらフニウがふわふわ近づいてきて。


「うん。かわいくなったねー。これならちょっと唇赤めの方が映える?」


 と、また前足のにくきゅうを指を鳴らすみたいにしてぽんと弾く。


 ふわっと顔に風のようなものが当たった気がしたと思ったら……。ボクの顔にうっすらお化粧が施され、くちびるはほんのり紅くなっていた。


「うん。すっぴんでも充分だと思ったけどこれでもっとかわいくなったねー」


 と、フニウ。


 ボクは小声で、ありがとう、って呟いていた。



「さあ次はいよいよ、魔・ギアだよ? とりあえず今日あげるのは一個だけだけど、これは君の魔力や運に応じて何個でも増えるからね? この世界での生活に役にたってくれるとおもうよ?」


 フニウの身体、胸の部分から白い塊が一個産まれたと思うと、しゅるんとボクの周囲に飛んできて。


 ぐるぐると周回し、そのまま左腕に絡み付いた。


「まだ産まれたばかりのギアだけど、君に合わせて成長するからね。唯一無二の魔・ギアに育つよ」


「魔・ギア?」


「君の魔力を増幅し、調整、コントロールすることができるよ。もともとこの世界に満遍なく存在するギア、四大元素を司るギアの上位機種。それが魔・ギアさ。あ、名前が浮かんできたね。その子の名前はシルヴァガント、属性はガントレットかな。性能はおいおいわかってくると思うよ?」


 ボクの左腕にあった白い塊はだんだんと銀色の手甲のように変化した。肘から指の先まで覆うそのシルヴァガント。なんだかちょっと温かみを感じるそれが、ボクの心に話しかけてきたような気がした。


 これからよろしくね、って。

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