2人の少女
目が覚めるとオレは手首と足首をビニール紐で縛られていた。家にビニール紐はないから用意してきたのだろう。
「何者だ?」
我ながら馬鹿な質問だ、これで答える奴がいるか。
「小早川水希です」
えっ?答えたよ、馬鹿か?
あっ?でもオレは憶えていなかったけど、名前は彼女が貧血で倒れた時に聞いているのだからオレが知ってる前提で名乗ったのか?
それでもやはり、どこか間違っている。
「話せ」
目つきが恐ろしく冷たい見た目小学生または中学生の、もう1人の少女が小早川を押し除けて話してきた。
先ほどの詠唱でオレを襲った精神ダメージから考えて、こいつは魔女だ。見た目より歳は相当いっているのだろう。
さっきの失神から、どのくらい時間が経っているのか?窓から射す夕日で薄暗い室内の様子は、失神前と然程変わりなかった。
小早川より格段に恐ろしい、この見た目少女の魔女は真っ当だ。
彼女の態度や言い様には禍々しさと恐怖しか見出せないが、それは現状に当てはまっている。つまり、正しい。
だから、小早川はやはり間違っているのだ。
何が可笑しいのか小早川はニヤニヤしている。
この場の雰囲気に沿ぐわない彼女の異物感が不気味なのだ。
邪な魔術や魔力の脅威には慣れている、それから外れている少女の雰囲気。
その不慣れな違和感にオレは戸惑い、覚束ない。
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「何が聞きたい?」見た目少女の言葉に聞き返した。
「話すことを考えるな、思いつくまま話せ」見た目少女の魔女は、冷たく言い放つ。
この状況を一刻も早く終わりにしたい。
オレは兎に角話し始めた。正直嘘を混ぜる余裕はなかったし、もうそれは必要がなかった。
妃陀羅に見放されたオレには。
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