今頭礼央

呪詛

丸一日寝ていたせいで、身体が重い。


河原から部屋に戻って、今日は仕事を休むとバイト先に伝えた。何も食べる気になれず昼前には寝てしまう。

明日は元からの休みだということもあり、時間を気にせず疲労と睡魔に身を任せたのが26日。


起きたのは27日、夕日が差し込む時刻。

寝過ぎた時の定番だが自分が24時間以上寝ていることを理解できず、まだ26日の夕刻だと勘違いしていた。


しかし矢鱈と重い身体と極度の空腹と乾きから、もしやと携帯で日付を確認したのだ。


殺風景の部屋に春子はいなかった。

アレは夢ではなかったのだろう。


突然「あ、開いてた」という声と共に女が入ってきた、あの少女だった。

身体が固まる、悪夢に引き戻されたような絶望がオレの心を鷲掴みにする。


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あの少女が今ここにいる。

やはり河原に出現した妃陀羅と、この少女には関係があるのか?


考えがまとまらない、ざわつきが止まらない。


彼女の後ろから声がする、詠唱?それは聴き慣れない発音の馴染みのない言語。

声の主は無表情なガキで、中学生または小学生。

そのクリっとした猫目は冷たく、幼さや愛らしさを全く感じさせない。

その冷たい眼差しにオレは竦む。

見た目より大人なのでは?

ガキのする目じゃねぇ、チビなのに威圧感がハンパない。

悪魔としか思えない、小さいから小悪魔?

いや小悪魔系女子ではない、断じて。


数秒後、オレは目の前が暗転し床が抜けて身体が下降していく感覚に襲われる。

喉が詰まり声が出ない、それどころか身体の至る箇所が詰まったように硬直する。

それは一瞬のことだった、オレは再び意識を失う。

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