ドラッグストア【水希】

崎原市金田にあるドラッグストアの店内。


「こんにちは、ご無沙汰です」

怯んだり照れがあると笑顔は効力半減、愛嬌だってハッタリです。

強気でいくぞ。


ポカンとしているオジさんの思考回路はショート寸前、別にあたしは貴方とエンコウした女子高生ではありませんよ。


意味もなくロングヘアを払い除けて、言葉を続ける。

「憶えていません?中学生の時貧血で倒れたところを介抱して頂いた」


「あーあの子かー、いやースッカリ大人になって」失礼な、大人じゃありません。

まあ制服じゃないから仕方ないか。


この男性は、たしか店長だったはず。


「その節はお世話になりました、いま今頭さん居ます?」余計なことは言わない、押し切るのが必勝法。


「あー今頭?アレ?知り合い?」思考回路は未だ混線中と顔に書いてありますよ。


「ええ偶然会って、あの時助けて頂いたことを思い出して、声をかけて半年くらい前から親しくさせて頂いています」


店長は、あの時今頭礼央があたしを助けたことを思い出したのだろう『つながった』と言わんばかりに判り易く顔を明るくした。


「あーそうだったの?へー今頭くん上手いことやったな」チョロい。

「あれ?でも今頭くん体調崩して昨日から休みだよ?」おっと、予想外の回答。


「そうなんですよ、それで看病にお家に向かう途中なんです」切り抜けられるか?


「あーそうなんだ、今頭くん風邪?」

「たぶん、何かお腹にきてて家から出れないそうです」

「ハルコちゃんは?出勤日じゃないけど家にはいないの?」

誰?春子?晴子?

「はい、急用があって今頭さん今独りらしくて」

ハルコっていう人と、今頭礼央は同居しているようだ。

あたしが彼女だと店長は勘違いしたのだから、ハルコは彼女ではないはず。

妹か?姉か?


「それに何回か電話しても出なくて、寝てるみたいなんです、あまり執念いのも悪くて」

さて本丸「何回かお家に伺っているから迷わないと思ったんですが、また道に迷ってしまって、でも何時迄経ってもあたし道覚えないから今頭さんにも悪くて」


「あーじゃ地図描いてあげるよ、お見舞いよろしくね」はい店長、ありがとうございます。

今頭礼央の居場所ゲット、グッジョブあたし。

ミッションクリアだよ、美由紀ちゃん。

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