第83話 うへへへ
「あは、ふふふ、うふ……ふへええぇ」
「……………………」
「ふふ、うふ、ふへえぇ……」
「……………………」
「くふふ、むふ、うひぃ」
「あああああ、うるさい! 黙って食べろ!」
妹がうざい、あんなに可愛かったのに、マジでうざくなった……日下部のせいで……。
「え? あはあ、たべてるよおぉ、うへへ」
目が完全にハートマークになっている……私はこめかみを親指と人差し指で押さえる。
妹に久しぶりに好きな人が出来て喜んだけど、妹の喜び方が変態だった件……。
うーーん、可愛い可愛い明日菜ちゃんと付き合えるって、日下部君は幸福者だって思ってたけど……これじゃあねえ……日下部君がんば……。
「うひゅう、うへえ、うへへへへ」
変態ってか、喜び方がキモイ……。
「……あのさ、喜んでいる所水を差す様で悪いんだけど、日下部君は……その幼なじみと本当に別れるの?」
「……へ?」
「幼なじみに恋してたって事は、かなり長い間恋してたって事よね? しかもずっと身近にいたわけだし……つまり家族の様な存在になってるって事しょ? それを、そう簡単に切れるとは思えないんだけど」
「──えええ! そうなの!?」
「ま、まあ相手に彼氏が出来たとかならまだしも、そういう感じではないみたいだし。そもそも男子ってさ、別れた彼女は今でも俺の事をずっと好きって思ってる奴多いしねえ、根が深ければ深い程、抜ききるのは大変なんだよねえ……」
特に日下部君は思い入れが激しいしねえ、もっと気楽に考えれば良いのに。
あの妹にしてもそうだけど、あの兄妹は、どうも考えすぎる所があるよなあ……。
「……うぞ……そ、そんな……うう、う、うえ、うえええええええん」
ああ、もう、うざいうざい、明日菜は小学生の時から何にも変わってない。
昔、自分が好きだった男の子に顔が同じなら私の方が良いって言われた時も、家に帰ってから泣くわ喚くはで大変だった……。
そう、本当に明日菜は内弁慶なんだ。家の外では借りてきた猫状態なのに、家の中では、特に私には感情的で、強気で、ああ、めんどくさい。
まあ、そういった素直な所は可愛いんだけどねえ……それにしても、同じ遺伝子とは思えない……まあ、だから大好きなんだけど。
さて……どうするか……メソメソと泣く妹を見て私はため息をつく……また面倒な相手を好きになったもんだと……。
まずは状況を整理してみよう。
明日菜は日下部君を幼なじみからある意味略奪したって形になっている。
日下部君の妹は何らかの形で幼なじみと結託している。
日下部君は学校で幼なじみの娘と付き合っている事になっている。
多分日下部君はその話を、付き合っている振りを解消しようと動く筈、いや、一日でも早く明日菜と正式に付き合いたいと思っているだろうから、もうすでに動いている筈。
そして……いまだに連絡が無いって事は……。
「うーーん、じゃあさ……とりあえず、一度三人で会って見ようか?」
「ふええええ……ええ!」
「良いでしょ? もうバレてるんだから」
明日菜はウサギの様な真っ赤な目で私を見つめて言った。
「…………く、日下部君……取らない?」
「取らないよ!!」
「本当に?」
「いらない、いらない、めんどくさい!」
いや、本当マジでめんどくさいから、いらない!。
「ぶううう、めんどくさく無いもん」
そう言ってあかんべーをする明日菜……ああ、もう一つ一つが可愛いくて、なんなんだろうね、この子は……まあ、だから小さい頃虐められたんだろうねえ……。
「多分ね、日下部君は色々悩んでると思うよ、だから二人で会って話をしてみようよ」
恐らく明日菜と二人では話にならないだろう、かといって私と日下部君が二人で会ったら明日菜がめんどくさいし……。
「……う、うん……ありがと……お姉ちゃん」
「いいよ」
本当なら恋愛って横から口出ししてはいけない、後悔しないように自分で考えるべきって思ってる。
恋愛って、好きな人の一番にならなければいけない、ずっと一番になり続けなければいけない。
これから長い付き合いになるかも知れない相手、そして今後こういった事が起こり続ける。一度誰かに頼ると一生頼り続ける事になる。
ある意味弱みを握られている事と相違ない……そう、恐らくその幼なじみの娘が日下部君の妹に頼り続けている様に……。
恋愛って、相手を信頼する、相手に信頼して貰う事から始まる。
どんな相手でも一朝一夕に出来る事ではない。
二人でゆっくりと築き上げていかないといけない……そこに他人が関わるとお互いに信頼しきれない事に。
特に女の子は大変だよね……他人の前で裸になれる程相手を信頼しないといけないんだから。
身も心も……ね。
それはある意味羨ましい事だ。
私には出来ない事だから……心の底から信頼なんて……多分私には……出来ないから。
【忙しい中なんとか書いたぞい(´;ω;`)】
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