第11話  本当の気持ち

俺と葵は遊園地へ向かうために電車に乗っていた。

その間気まずくてまともに話すことができなかった


「宙空くん、どうしたの?」


複雑な表情をして下を向いている宙空に葵はいった


「いや、せっかくの記念日なのに俺はこんなだし、変なことは起きるし・・・」


俺は今の正直な気持ちを葵にいった


「なんも気にしてないって言えば嘘になるけど。せっかくの記念日だし楽しもうよ

いつもの宙空ならそんなこと気にしてないでしょ?」


少し嫌味っぽく葵はいった

でも俺を励まそうとしてくれてるのは伝わってきた


「ありがとう」

「どうしたの。急に」

「俺を元気つけようとしてくれたんだろ?」

「宙空のくせに珍しいわね」


葵は少し驚いていた


「な、なにが?」

「いつもならそんなこと気付かないじゃない」

「そ、そんなことはない」


宙空は言った

いつもはなにも分からないけど

葵の無理してそうな顔と偽りの笑顔に俺は気づいた

流石に心配になってた俺はいつもよりよく葵の顔を見ていた

だからこそ気づけたのだろう


「葵もあんまり無理するなよ」

「なんか今日はやけに色々気づくね・・・こんな時に限って」


葵は悲しそうなでも少し怒っているような感じで言った


「なんかよく顔見るようになってから少し気づくようになった」

「そ、そうなんだ」


困ったように言った


「もっと私のこと見てくれたらいいのに、私だけを・・・」


葵は宙空に聞こえないくらい小さな声でいった


「何か言った?」

「ううん、何にも言ってないよ」


宙空は葵の肩をグッと掴んで言った


「もう誤魔化さないでよ、ちゃんと俺に話してよ」


真剣な眼差しを向けられた葵は嬉しそうに泣きながら


「うん、わかった」

「ありがとう葵」


宙空は笑顔で言った


「私は空にずっと私だけを見てて欲しい。柚月ちゃんのこと気にするのもわかるけど私

のことをもっともっと見て欲しい。他の人に撮られるなんていや!」


葵は心のうちに秘めていた想いを宙空に打ち明けた


「・・・」

「ごめん葵、俺、柚月のことばっかだったし葵のことちゃんと気にしてあげれなかった。

俺ちゃんと葵のことだけ見る」


宙空は少し申し訳なさそうな顔をして言った


「うん」


蒼は涙を流しながら笑顔で言った


電車が遊園地の最寄りに着く頃


二人は今まで通り仲良く話していた


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