子供の相場

 私は11歳の弟との二人兄弟だ。私の弟はよく、純粋なまっすぐな目で面白いことを言ってくれる。


 家族旅行に行った。新型コロナウイルスの騒ぎで、地元の旅館が割引をしてくれるので、いつもより安く観光をした。その帰り道、弟が言ったことが深かった。


 旅行の帰り道、地元活性化のために、その地方でのみ使用できる、六千円分の金券をくれた。それを使って道の駅などでおみやげを漁っていた。


 そんな時、かにを売っている店の前を通りかかった。「一匹三千円」。そう書かれた札に、私たち家族はその店の前を通り過ぎようとした。

 すると、そこの店主が言った。「夕方なんで、安くしますよ。」「味見していきなさいよ。」立て続けに掛けられる宣伝文句に、なんとなく足を止めた。


 店主はかにの足を3本折り、弟以外の全員に一本ずつくれた。弟はかにを食わず嫌いしているので、拒否した。とても気前のいい試食に、私達は店主の饒舌な口調を無視するわけにはいかなかった。そのかには生で、冷凍していない、とても美味しいズワイガニだった。


 私達がその券を持っていることを伝えると、店主は「五千円で三匹あげる。」ト言った。その一言に、かに好きの私と両親は目を輝かせ、迷っていた。すると、「試食で足を折ったやつもつける。」と言われ、私の母は買う決断をした。すると店主は、「ありがとう」と言いながら、「一本おまけ」ともう一本袋にいれてくれた。なんと一本三千円のかにを、五本で五千円という破格で買うことができた。


 私たちは大満足した。


 残りの千円を使おうと、お土産屋さんに行くと、弟がこんなことを言った。「もったいない。ぼったくりだった。」私と両親はその言葉を全否定した。「いいや。得したよ。」「本当にいい買い物をした。」「いい店主だった。」と。


 しかし、弟はまだ不満そうにうつむいていた。


 「もったいないよ。」と、言い続ける弟を完全に無視し、帰宅した。


 私達はかにをこれでもかと、贅沢に食べていた。そんな時、ふと思った。弟があんなことを言ったのは、自分にとって価値の無いものにお金を使ったからではないかということ。


 私は未成年なので、当然お酒やたばこは無駄な出費、なぜ買うのか。と思っている。この時の弟の心情は、これと同じだったのではないだろうか。


 たとえば、いくらたばこがセールされていたとしても、買わなくていいのでは?と私は思う。しかし、ヘビースモーカーの父にとって、たばこが安くなっている時に買わない手はなかった。


 このかにを買う私達に、「もったいない。」と言い続けた弟の気持ちはこれと同じだったのではないか。安いと言えど、五千円を躊躇なくかににつぎ込んだ私達を無駄な出費。と思ったのではないか。


 弟は、本当に新しい考え方を教えてくれる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

すゞめの嘴 雪華すゝ゛め @kakimonozukue_to_karasu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ