第七話 たかたか
「あー疲れた、やれやれ。」
今日も一日忙しかった。
私は三人の子供と一人の夫を持つパート主婦。
毎日朝から食事作りと洗濯、一番下の娘を保育園に送ってざっと家の掃除。
週三日スーパーのレジのパートがあるけど、今日は小学校のPTAの会合があった。
PTAは三人も子供がいると絶対に一回は引き受けなくてはならない。
会合の帰りのお茶は断って、子供たちが帰ってくると習い事の送迎がある。
ピアノとスイミングと英語を習わせていて、一番上はひとりで行けるけど、真ん中と下の娘は付き添ってやらなくてはならない。
そうそう、学校の宿題も見てやらないと、いい加減に済まそうとするし。
次男の担任は漢字のとめ、はね、に異常にうるさい先生で漢字ノートが真っ赤に直されているのを見ると、親まで追いつめられる。
夕食を作って夫は遅いから先に食べて、お風呂の後、ようやく私の自由時間、ゲームでもとスマホを手に取った。ゲーム内の私『たかたか』がハンモックから降りようとしたらと夫が帰ってくる。夫はご飯をよそう、とかチンするとかが大嫌いで子供のように手をかけてもらうのをとても喜ぶ。しょうがないなぁ。
おかげで今日も『たかたか』はハンモックで昼寝していただけ。
寝る前の子供たちは夫に群がって今日の出来事を報告している。
「パパ、今日ボク、テストで百点だったよ。」
「さすが、パパに似て賢いな。」
「僕は九十点だけど三年生は一年より難しいんだから。」
「はは、ママに似ておっちょこちょいだからなあ。」
「パパ抱っこして!」
「御飯が済んだらな、おい隆子、ビールお代わりー。」
もう夫はノンアルコールビールでも味は判別できまい。
おっちょこちょいな私は、ニヤリとしてノンアルビールをグラスに注いであげた。
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