満月
彼のことを想いながら眠りにつく。淡い光に照らされた彼の顔を思い浮かべる。肌が青白く光り、額によって作られる陰影で表情がよくわからない。空想の中で、私の冷たい手で彼の頬をやさしくなでたい衝動にかられた。優しく撫でた後、そっとキスをしたい。私が彼にキスをしたら、彼は応えてくれるのだろうか。
彼は今何をしているのだろう。もし彼が私の横にいたならば、どのような夜を過ごすのだろう。彼の首筋はどんな香りがするのだろう。彼はどのような愛撫をしてくれて、どのような愛撫が好きなのだろう。彼の肌はどのような触り心地なのだろう。
私と彼が野良猫になって、満月に照らされながら、どこかの家の屋根の上でお互いを毛づくろいすることを想像した。私たちが野良猫であったなら、何も気にすることなく、彼に触れることができたのに。生まれ変わりがあるとしたら、来世もまた彼に会いたい。来世では、私も彼もまだ若くて一人であるときに、出会いたい。そして、彼に触れたい。
満月の夜はいつも、眠りにつくのが難しく、またとりとめもなく空想が浮かんでくるのである。
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