第4話 私はまだ5歳児でした
闇属性について、父のご友人に尋ねると、光属性と同じものだと、答えがかえってきた。
あの…5歳児にもわかる説明をお願いします。
光は物理にきく、闇は精神にきく、ので、どちらか一方ではなく、どちらも持っているのが望ましい。
どちらか一方だと、もう一方が極端に弱くなるそうで、光だけだと、精神的に弱く、闇だけだと、肉体的に弱くなる。
どちらかが優れているわけではなく、二つ合わせもって一人前だそうだ。
ご友人は、あるものを取り出した。あの、透明な液体だ。小さな瓶に入っている。
私が紋様に興味があると父から聞いていたようだ。
「透明の液体に魔力を注いでご覧?」
注いだら、黒くなった。
けれど、同じように注いで見せたご友人のものより色が薄いようだ。
「色は濃い方が、魔力を上手に注げているんだよ。」
なるほど。今の私ではこのぐらいの薄さになると言うことか。
一度黒くなった液体を、より濃くするには大変な魔力が必要で、一度薄くなってしまったら、重ね付けよりもやり直しの方が、魔力を必要以上に使わずに済むらしい。
「じゃあ、今持っている液体はこちらに置いて。」
私が握りしめるように持っていた容器を見て、ご友人と父は驚いている。
何があったの?
「君、ルイ君、これはどうやったんだい?」
よく見ると、薄い黒に染まっていた液体が、薄い青色に変わっていた。
「わかりません。じっと持っていただけです。」
私は棚からショートケーキが落ちてきたような衝撃を受けた。
もしかして、魔力を少量ずつ流し続ければ、色を変えることができるのでは?
私がそのことについて尋ねる前に、血相を変え、ご友人は出て行ってしまわれた。父は私に、このことについては口外しないように言い、今日の授業は強制終了となった。
私は口外しないなら勝手に調べたりは許されるだろうと、それから何度か同じことをやってみた。
やってみると、意外に魔力を消費することがわかった。少しずつでも、確実に魔力は流されるのだから、当たり前だが、私は黒以外の液体が作れる、と喜んでいたので、肝心なことに目を向けるのを怠っていたのだった。
そして、それは唐突に起こる。魔力切れだ。
父は、ため息をついて、私を呆れたように見ている。
セシル、マシュー、アデルも何故私がこうなったのかわかっているようだ。
恥ずかしすぎる。
母だけが、何故か嬉しそうに、世話を焼いてくれる。最近、私が母離れしたようで寂しかったそうだ。
まだ5歳だものね。
一度倒れてからは、自分の体と相談して、無理のない範囲でセシルやマシューにも手伝ってもらいながら、液体を黒から違う色に変える工程をやっていく。
アデルも手伝いたい、とは言うが、今は気持ちだけ受け取ることにする。可愛い妹に何かあるのは嫌だから。
男と女で色の違いがあるのか知りたいので、もう少し大きくなれば、絶対に手伝って貰う、と言い含める。
さて、マシューと私、セシルの属性が違う場合、掛け算だとどうなるかやってみた。
まずマシューに魔力を送って貰い、次はセシルが送る。と言った感じで逆もやってみて、面白いことがわかった。
最初に魔力を送った属性の色に引っ張られる、と言うことだ。例えばわかりやすく、言うと、さっきのマシュー+セシルの場合、赤+青で紫ではなくて、赤紫になると言った感じ。
今わかりやすく置き換えていて、厳密に言うと、色はちがう。
セシル+マシューは青紫、と言う感じ。
本来の火属性の色は、赤というよりオレンジ。オレンジ寄りの赤、赤寄りのオレンジと言う一言では言い表せない複雑な色。
あと、同じ火属性でも、マシューと母の色はやっぱり違う。単純に色の濃さだけでなく、本人の性格?によるものなのか、調査中。
それから、色を変える要素として、感情が関係するのかどうかを調べたい。
よく恋をしたらピンク色、とか想像するよね。魔力を流している際に、感情が何らかの影響をおよぼすのかを明日以降確認しようと思う。
最近自分の電池切れのタイミングがわかってきた。セシルやマシューはやはりお兄ちゃんなのだ。ルイよりも体力がある。ルイが魔力切れの際に倒れるのはどうやら体力がないから。体力があれば、倒れないらしい。
マシューが初めて魔力切れを起こした時、倒れなかったため、気がついた。
体力もこれからつけていかなければならない。やることはたくさんあるのだ。
この間、父のご友人が来られた際に風属性だけ見る事が出来なかったのだが、どうやら使用人の中に風属性を持つ者がいることがわかった。
母が教えてくれた。
侍女のマリンは、微風を起こすことができる。魔力量は大したことがないので無理は禁物だが、マリンの他にも何人かいるので、液体に魔力を全員で送って貰った。
綺麗な緑色になる。
マリンたちは仕事があるため、あまり参加してもらえなかったが、組み合わせについても、協力を仰ぎたく思う。
そうしているうちに、何色か色ができたが、まだまだ思ったようにはできない。どうやらまだ道のりは遠いようだ。
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