A postscript

こんにちは、龍崎昇です。


「妹キャンバス」無事に完結致しました。


連載に最後までお付き合い頂きありがとうございました。


これもひとえに支持して頂いた読者様のおかげです。


最後におとどけするのは制作裏話です。


東京圏におすまいの方であれば気が付かれたかもしれませんが、この物語に登場した施設しせつは全て実在します。


また登場したお店についても一つをのぞいて実在するか、モデルとなる店が存在します。


そうする事で東京圏以外の読者にも東京のリアルを伝えたいという想いがありました。


とは言え実際に案内出来たのは、世界有数の巨大都市である東京のほんの一部に過ぎません。


六本木にある「ハードロックカフェ」など、御門みかど友梨佳ゆりかのデート先候補はたくさん考えたのですが、そのほとんどは使われる事がありませんでした。


特に「アマン東京」で2人がデートするエピソードは本当に書きたかった・・・

物語の構成上、どうしても入れる事が出来ず、今でも少し心残りです。


そんなリアル志向しこう背景描写はいけいびょうしゃの中で唯一の例外となったのが、四谷三丁目よつやさんちょうめ駅近くにあるとされた「Ristorante di Napoletana」です。


この店は基本的に創作そうさくであり、四谷三丁目よつやさんちょうめにモデルとなる店は存在しません。


「Ristorante di Napoletana」のインスパイア元になったのは、以前におとずれた事がある「GRILL & PUB The NICK STOCK GINZA SIX店」です。


もっともこの店は熟成肉ステーキがメインの店で、イタリアンレストランではありませんが・・・


銀座のレストランにもかかわらず、価格は比較的リーズナブルで雰囲気も上々の店なので、ご家族連れはもちろん、デートにも使える店ですよ。


ところで「Ristorante di Napoletana」でのデート中に、2人が話題にしていた友梨佳ゆりかのバッグは、シャネルのマトラッセをイメージしています。


色は当然ブラックで、素材はキャビア(グレインドカーフ)という、シャネルのバッグとしては定番中の定番モデルになります。


次にヒロインの蘭堂友梨佳らんどうゆりかですが、登場人物の中で、当初の方針から最も変化したのが彼女です。


初期の設定では蘭堂友梨佳らんどうゆりかをヒロインにするつもりはありませんでした。


最初に考えていた彼女はステレオタイプの敵役かたきやくであり、自分の家柄いえがらを鼻にかけたような性格の少女でした。


蘭堂友梨佳らんどうゆりかは登場時こそ、敵役かたきやく的な振る舞いをしてくれましたが、友梨佳ゆりか御門みかどを好きになるという展開は、当初から一貫いっかんしていたため、二人が出会うエピソードを書き進める内に、友梨佳ゆりかの事がどんどん可愛く思えてくるようになり、ここから物語の方向性が大きく変わっていきました。


友梨佳ゆりか美野里みのりが通う高校の編入へんにゅう組と内進ないしん組の確執かくしつについても、当初は物語の主要テーマの一つにするつもりで、最初の段階で伏線だけは張っておきました。


しかし、ある程度書き進めた時点で本作をピュアラブストーリーにするという方針が固まった結果、友梨佳ゆりか魅力みりょくをスポイルするという理由で、伏線のまま終わらせるという選択になりました。


当初の予定通りであれば、美野里みのりの親友である早紀さき友梨佳ゆりかの友人たちも、もっと出番が増えたのでしょうが、そうしなかった事で御門みかど友梨佳ゆりか、そして美野里みのりの三角関係にフォーカスされ、結果としてストーリーが整理された側面は否定できません。


そしてもう一人のヒロインである鷹飼美野里たかがいみのりについては、まだ全体方針がさだまっていない初期段階では、彼女視点のエピソードを書いたのですが、その後は本人以外の視点から彼女を描写びょうしゃするという形に落ち着きました。


美野里みのり視点のモノローグが無いため、彼女に関しては友梨佳ゆりかのような分かりやすさは無いのですが、読者の想像力が刺激されるのは彼女の方だと思います。


2人のヒロインについて、同じえがき方をするのではなく、対照的な手法を取りたいという想いもありました。


作者としては初めてのピュアラブストーリーであり、現在の実力では精一杯の作品をおとどけしたつもりですが、未熟みじゅくな点も多々たたあったかと思います。


そういった作品を時間をいてお読み頂いた皆様には感謝しかありません。


メインキャストの3人に少しでも共感して頂けたなら、そして物語の舞台となった東京、この魅力的みりょくてきな都市の雰囲気を少しでも感じて頂けたなら幸甚こうじんです。


また次回作でお会いしましょう。

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妹キャンバス 龍崎昇 @RisingDragon

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