第16話 Taking a breast impression

全ての準備じゅんびととのった。


俺はいよいよ「妹Dカップ計画」を実行する。


まずは第一段階だいいちだんかいである胸の型取かたどりからだ。


型取かたどりには「アルジネート」と呼ばれる粉末状ふんまつじょう印象材いんしょうざいを使用する。


アルジネートの使い方は非常に簡単で、この粉末ふんまつに水をくわえてってやるだけだ。


歯科医院しかいいんで歯の型取かたどりに使用するピンク色の印象材いんしょうざい基本的きほんてきには同じものであり、印象材いんしょうざいとして広く一般的いっぱんてきに使われている。


口の中に入れても無害むがいな位だから、肌に直接ちょくせつけても問題は無い。


水をくわえてったアルジネートの硬化こうかきわめてはやく、1~2分でかたまってしまうため、作業は手早く行う必要がある。


身体からだ仰向あおむけのままでは正確な型取かたどりが出来ないため、妹のパジャマを脱がせてから上半身じょうはんしんを起こすとベッドの横のかべに寄りかからせる


いつも通り、妹は全く起きる気配けはいを見せない。


それにしても良く起きないものだと俺は今更いまさらながら感心する。


俺は画材屋で見つけた、取っ手の付いたアルミせいのおわんのような容器ようきでアルジネートと水をわせる。


アルジネートと水が十分わされたところで、俺はその容器ようき慎重しんちょうに妹の右胸に押し付けた。


そのまま2分程、容器ようきを動かさずに固定こていする事で、アルジネートが硬化こうかするのを待つ。


それから容器ようきをゆっくりとはずしていくと、かた見事みごとに取られていた。


左胸も同じように型取かたどりを行い、両胸のかたが完成する。


完成したかたにシリコンけい印象材いんしょうざいを流し込めば、今日の作業は終了だ。


俺は妹のパジャマを元通もとどおりに着せて、ベッドに横たわらせる。


こうして第一段階だいいちだんかいの作業は無事に成功した。


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翌日


履修科目りしゅうかもく講義こうぎ休講きゅうこうになったため、俺は朝から作業を再開した。


妹はすでに登校したので、邪魔じゃまが入らずにじっくりと作業にかる事が出来る。


昨日きのうの内にかたに流し込んだ印象材いんしょうざいは完全に硬化こうかしていた。


俺は慎重しんちょう印象材いんしょうざいかたからはずす。


妹の胸そっくりの、シリコンせい原型げんけいが取り出された。


左右さゆうで大きさが違うのか・・・』


右胸と左胸の原型げんけいをじっくりと見比みくらべる事で、俺は両者の大きさが微妙びみょうことなる事を発見する。


これは妹の胸をDカップにした場合でも、大きさを厳密げんみつに合わせる必要が無い事を意味している。


次に俺は原型げんけいにシリコン粘土ねんどける事で胸のボリュームをやしていく。


けが終わったら、ヘラを使って表面ひょうめんなめらかにする。


最後に丸めたシリコン粘土ねんどで乳首を追加すればDカップの原型げんけいの完成だ。


ここまでが第二段階だいにだんかいである。


シリコン粘土ねんど硬化こうかしないため、完成した原型げんけい型取かたどりはすぐに始める事が出来る。


昨日と全く同じ様に、アルジネートを使って型取かたどりを行う。


こうしてDカップのかたが完成した。


第三段階だいさんだんかいが終了し、俺はようやく第四段階だいよんだんかいである人工乳房じんこうにゅうぼう制作せいさくかる。


人口乳房じんこうにゅうぼう素材そざいとして俺が選んだのは、軟質なんしつのウレタン樹脂じゅしである。


型取かたどりが終わったDカップの原型げんけいからシリコン粘土ねんどを取り外してBカップの原型げんけいもどすと、DカップのかたをBカップの原型げんけいにかぶせるように組み合わせ、両者の隙間すきまにウレタン樹脂じゅし原液げんえきを流し込む。


朝から作業に集中していたため、気が付けば、時刻は午後3時を過ぎていた。


もうすぐ妹が帰って来る時刻だ。


ウレタン樹脂じゅし硬化こうかするには5時間以上かかるため、今日の作業はここまでになる。


俺は作業台の上をきれいに片付けると、遅い昼食を取るためにリビングへ下りていった。

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