第5話 Boy meets Girl
それから3日後の土曜日
妹の服とクレープを買ってあげる約束をさせられていた俺は、地下鉄で原宿へと向かっていた。
そうなったのには
「兄さんは私にモデル料を支払うべきだと思います。」
俺の部屋に来た妹は、いきなり要求を突きつける。
「モデル料?俺はお前をモデルに使った覚えは無いぞ。俺はキャンバスとして使っていただけだ。」
「ではキャンバス料です。
つまり作品製作のキャンバスとして自分を勝手に使った事へのお礼をしろという意味らしい。
それで妹の
「あまり高いのはダメだぞ。」
「心配しなくても、兄さんの財布の中身ぐらい知っていますよ。」
それが昨日の出来事だった。
地下鉄
待ち合わせの時間は13時であるため、まだ1時間以上ある。
待ち時間を利用して、俺は
いつ来ても
ここに東京の文化の
昔は
原宿も悪くないが、女子向けの
結局、
俺は
そうして観察を続けていた俺は、30mほど先の異変に気が付く。
そこには水色のワンピースを着た若い女性が歩道の
良く見ると彼女の右足は
どうやら歩いている時に、いきなりヒールが取れてしまい、その
俺は彼女に近付くと声をかける。
「どうかしましたか?」
「ええ、少し前に
このまま
俺は彼女にヒールの取れた靴を見せると再び話しかける。
「靴がこれじゃあ歩くのは無理だな。ここでは何も出来ないから少し移動しよう。」
俺は
「両手を俺の肩に置いてもらえるかな。」
「・・・はい」
彼女はまだ、俺の言葉の意味が分からないようだが、素直に言う通りにしてくれた。
「そう、そのまま肩をしっかり
「あっ!ちょっと・・・」
彼女は少し
「しばらく
俺は片手を
歩き出そうとしたところで、俺は彼女の
無理もない。見知らぬ男にいきなりおんぶされているのだ。
俺は彼女の
「・・・それで妹は今でも俺におんぶしろとか言うんだぜ、小学生みたいだよな。」
俺は
「
俺は
美大生のカバンには、一般人が持ち歩かないような道具が色々と入っている。
「おっ、あったあった。」
俺は
そのため、両手に力を込めて押さえ付けるしかなかった。
力作業のため、
作業をしている間、彼女は
『靴の修理が、そんなに
俺はそんな事を思いながら作業を続けた。
5分程で靴の修理は終了した。
「
俺は靴の
「次は右足の
俺は彼女の
「ウッ!」
彼女は顔をしかめた。
「こうすると
「ええ、少し・・・」
俺は彼女の
それが終わると、俺は彼女の右足をそっと床に下ろし、
「どうやら骨は折れてないようだな。レントゲンを
俺はカバンから
彼女は顔をしかめながら再び
「悪いが今
「ふぅ・・・」
俺は最終確認のため、そのままの
「俺の肩に手を置いて・・・そう。これから俺が3・2・1のタイミングで立ち上がるから、タイミングを合わせて立ち上がってくれ。」
「やってみます」
「じゃあ行くよ、3・2・1、それ!」
彼女は見事に立ち上がった。
「手はそのままで、少し歩いてみて」
彼女は
「大丈夫です!少し
「そいつは良かった。」
俺は彼女に笑顔を向ける。
「帰ったら医者には見てもらった方がいいけど、2~3日
「ありがとうございます。」
「今日はこのままタクシーで家に帰った方がいい。」
俺は彼女のトートバッグを肩に
外に出れば、そこはもう
タクシーは
俺はタクシーに彼女を乗せると、注意点を伝える。
「さっき言った通り、靴はあくまで
「本当にありがとうございました。あの、あなたの名前と
「そんなのいいって、別にお礼が欲しくてやったわけじゃない。俺の名前は
そう言い終わったところで、タクシーの
彼女は
「私は
俺は笑顔で彼女に手を振って別れを告げると、タクシーは走り去っていった。
走り去るタクシーを見送った俺は、大事な事を思い出す。
これから妹と待ち合わせだったのだ。
『やばいな、このままだと
俺は
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