第24話 サキュバス

 ご報告です。


 ヒロインのリリーアの紹介を近況ノートでイラスト付きで紹介しております。

 作者のイメージ的にこんな感じの子だよ。ちなみにキャラ設定自体はそこまで深く作ってないので後々追加します。


 本編どうぞ

 

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 角の女の子も満足そうにしていた。


『ねぇ、こんなおいしい物食べてるの?』

 「そうだよ。ふぅ、結構作ったから、汗かいたな。」

『…ありがと………。』

 


 さて、そろそろ帰るかな~。


 ここに角の女の子は出身は多分うちの集落だろう、他にどこがある。まあ、こういう獣人もいると思うし、お父さんを頼ればなんとかなるだろう。とりあえず、この廃墟には放置はダメだ。



『………っ――!///…』ジー


 とりあえず一回帰る事を伝えようとしたが、様子がおかしかった。

 恥ずかしがっている?顔が暗くても分かるくらい赤いのが見て取れた。

 ここは、ネットで知った必殺技を試す時だ。


「どうしたん?話聞こうか?」

 『………』

 

 無視か。(´・ω・`)


 タイミングの問題か、できるイケメンしか許されない秘宝の技なのかもしれなかった。


 『…あっ、いや……えっとね、その…ね。』

「何?」

 『里から逃げちゃったの。もう居場所も家族ももういないし、里の偉い人にね。化け物って言って怒らせちゃった。』



 居場所がないか。ネットが代替になってた事があったからそういうのがないなら辛いよな、基本的にやり過ごせとしか言えないな。赤の他人からは…しかしこの時代の移動って確か馬車や船のみだと思う。だけど飲み水の重要だから、水の川沿いに移動しかしないかも。家族が誰もいないって?親族全員死ぬ事ってあるかな?うちの里ってそんな人いるか?

 にしても話をもうちょっと掘り下げないと状況と話を整理しながら聞かないとあまりにも断片的な情報ばっかで分からない。


「そっか、この近くのさ集落の出身じゃない?」

 『…うん、それで…えっ…と、ね。』プルプル

「落ち着いて話して、えっと」ナデナデ


 震えてるな。頭を撫でるか、リーズにしていること何も考えず、行動を起こした。


『リリーア……名前』

 「リリーアね。」

『えへへ、名前を呼ばれるのはうれしいよ。』


 ちょっと気まずいな、少し異性として意識してしまった。名前を呼ばれるだけで嬉しそうに…いくら何でもチョロすぎるだろ。俺…


 『…名前だけ教えて』

「アル・ウェストランド・リーだ。長いからアルで良いからな。雨止んだし、本当に一人ならうちに来る?」

 『……いいの?』

「いいよ。」


 お母さんを味方に付ければなんとかなるだろ、その時に事情を聞こう。夜でもある程度方向は掴んでるし、家に帰れるだろう。


 足を前にここを出ようとした。その時、咄嗟にクロスボウを構えた、正面に人の姿見えたからだけどトリガーまで引けなかった。


 『チャーム……ボッーと真っ直ぐ進みなさい。』











 家に帰るため森を通るが真っ暗で方向は何となくで合ってる方向に進んでいた。

ふと忘れ物に気づいた。アルの前世の当たり前に一人暮らしをしていれば、スーパーで買い忘れとか会社や学校に傘忘れで取りに行くとかボーっとしてしまう事があったからだ。


 「塩…忘れた…戻るか。」


 スーパーに買い戻るような感覚で戻った。


 廃村が見えるのだが、屋根に角の女の子よりも大きな黒い翼を持ったシルエット人型が複数見える。大きな特徴もあった。


 「空飛んでる。マジか…」


 状態異常が完全に取れてしまった。人が空を飛ぶとかそんな姿を見たら驚きを超えて冷静になってた。



 リリーアが無事か心配になるし、武器はクロスボウの数発と短剣だけだ、不意を突くしかないが、あの空飛んでるよく分かんないやつが敵なのかすら分からない。

 殺す気はないと思うが、状況も分からないし兎に角近づくことにした。


 月が雲がかかり真っ暗になった。空を飛んでるやつがいる以上、月明かりのみだけでも視認ができるかもしれないし、暗ければ見えないだろう。

 今しか近づけるタイミングが無いと思い走る。


タッタッタッ スッ


 もちろん建物に近づくにつれ足音を小さくしていった。

 暗くなった一瞬の隙に建物の陰に行く事がなんとかできた。

 ちなみに、森からここまでに遮蔽物もないため、ここまで来れたのは運がいいのかもしれない。

 とりあえず、窓から様子を見ていた。

 

 『はぁ、あんな中途半端の呪われ者のリリーアちゃん、あの方もこんなやつなんてほっとけばいいのに…ホントめんどくさわぁ~、まさかこんなとこまで来るとはね。』

『でも、そのおかげで警戒心薄い人たちを連れて帰れちゃうなんて…』

 『やめてよ。アルには手を出さないで!』

『…キャハハハ!!!いつから私達に命令できるようになったのかな?しかも、彼はもう森の中でポツンと一人でね。』

 『オレノツガイキヅツケナイ、ユウコトキケスニカエレ!!!』


 ホブゴブリンだ。


『そうそう、そのゴブリンはね。貴方の事を番って認識してるわ。そして、連れ帰ったとはどうなるかなぁ♡さっきの彼もあなたに里に貢献させて、手柄を立てればインキュバス様に貢げば愛でてくれるかも♡』

 『こんなありがた迷惑なのは助かるわぁ。』

『アハハ』


 ギィギィ


 木材の歪みの音を立てながらリリーアに近づいて行くホブゴブリン…


『近寄らないで!!!ウォーターショット!』


シュルル バジャン

         ゴッ バキイィ ズルル


『ガァァーアアァ…』バタン


 家の壁の一部が破損するほどか…思いの外魔法強いのか。

 革の鎧を着ているホブゴブリンだが、正面切って戦うと負ける可能性すらあるという事、当然装備のレベル同じで石のナイフとかでもなく金属系の武器を持っているのはすぐさま思いついた。


『何で…いるの?』

 「えっ?」


 屋根上から顔を出しながら空で様子を見ていたヤツにバレた。


『…いいや、”中に入って…オトハダサナイデネ”』


スッ


 今の言葉で体の自由が奪われた。追従する形でついていくだけど、考えだけが動かせる自由が無い為、観察をする。


 無言というか、かなり落ち着いた感じのトーンで声だけど…従えば、かなり近い距離でこの問題に参加する事ができる。


 『はぁ、アレの見る目はない。”モウスグウゴケルヨウニナルヨ”』


 もうすぐか。少なくとも敵対ってわけではないな。


 傍にいる子は、観察能力が高いのか、ボソッと味方の悪口を言った…思うにスカウトマン…斥候の役割だから能力を判断しているな。敵に回すとめんどくさそうだ。


『こんな、中途半端にやられる何てダッサ アハハァ♡』

 『サリアは何で連れ戻しに来たの?こんな大勢で…』

『何でって、リリーアちゃん…あの方が言うには、ハーフサキュバスだからよ。そしてあんたと同い年だからって理由よ。』


 どうやら、リリーアの知り合いはサリアというようだ。

あの子…にしてもデカいな。口には出さないけどね。


『はぁ~…何が、不満なわけぇ?もしかして、あの魅了にかけた人間の事でも好きになった?インキュバス様とするのにぃ、夜伽のムードをぜ・ん・ぶ破壊とか!あ~そっか、あんたの親、人間とサキュバスでできたから、いまさっき会った人間に情でも湧いたわけ?』


 複雑な事情ぽいな。


『それは…関係ないよ。呪いの子って呼ばれているのに、サリアは止めてくれたんだよ…他の人は誰も言ってくれない。』

 『インキュバス様の顔に泥を塗ったのよ。しかも呪いの子と底辺のあなたを救いあげようとしたのに、女に逃げられるような男ってね。しかも、サリアも立場悪くなるし。ねっサリア?』

『そうね。』

 『ホント呪いの子って関わりを持つとマイナスになるんだって、里で罰を与え続けないと作物凶作が終わらないじゃない。家族だってあんた残してみーんな死んじゃって♡普通は100歳以上生きるのにあんたの家族は死んでる。おまけに一昨年の農番はあんた達なのよ。さあ、そろそろ言う事も聞かなくなってきたし。ねぇザーコ、力でやんないとダーメ♡』

 『…欲情は力となり、ヒート・オブ・パワー』

『ウォーターショット!』


シュルル バジャン 

        ズルル


『耐えた?これ以上は…ううん、ウォーターバズーカ!』


シュルル シュルルル ブニュン ズシャーーン

                   バキィーー ズシャン バタン


 一番の威力を誇ったのか、廃村の家の壁を破壊してホブゴブリンは外まで飛んで行った。


『私は…私はぁ‥もうそういうのいやなの…だからわたし』

 『しょうがないなぁ、オスならさっさと力で捕まえなさいよ。従属に力を!カースド・ヒート・パワー』


 バキ コギィ バキゴギィ


『あの人の所は行きたくない。もう見たくないの!』

 『へぇ~認めないんだぁ……ねぇ、そういえばリリーア、あなたインキュバス様に夜這いを”初めて”迫られたのよね。私よりも先にね。ちょっと痛い目見ないと分からない?』


『もういいわ、命令よ。ホブゴブリン、”本能だけ優先して行動しなさい”』


 バキ コギィ バキゴギィ


 ゴブリンの筋肉がムキムキだけど目つきもやべぇな。何か知らんが目に血が行ってる、小さいのに筋肉モリモリって…ん?あんな筋肉の付き方ってする?

 一回りぐらいデカくなったことによる身長は多少高くなっている。

 多分だけど、大きい部位の筋肉と小さい細かい筋肉も増強されてるからだと思う。


『ツガイツガイツガイ…ガァァアアアアア!!!!』

 『アレと同じ顔、ひっ…怖い…何よ。来ないで…来ないで!!!』


  ギィー ギィー

            バタン


『ウォーターショット』


 シュル バジャン ガッ ズズッ


『え?!何で?倒れないの?魔力が!?もうない…』

 『それはね~知能を極限まで落として力に変えたのよ。』

『いやぁ…さっ  触らないで!』


 ガシッ ズズッ


 『ジュルル』


 腕を掴まれたリリーアをゴブリンは品定めするようにじっくりと宥める。手が動けるようになった。


 目をつむり、この状況で逃げるという選択肢もあるわけじゃない。何もしないという選択肢は武器を持ってる時点で事を構える覚悟だ。


 まず、さっきの彼女の様子を見たが干渉はしてこなさそうだ。ただ、言葉で動けなくなるため下手にサキュバス…同族は攻撃はダメだ。クロスボウに武器を切り替える。頭を撃ち抜けばどんな奴でも倒せると今までの経験で確信していたからだ。


 「その子から離れろ!!!」

『ハンショク…フヤス…アツマル…ツヨイ…ツヨイメス…』


 『ふっ』『いつのまに?!』


 パシュン グサッ

           ポタポタ ガッ


 脳天に命中した。


 『っ――?!ひっ血?』

『イノチ、ナクナク シソン、フヤス』


 血って事はダンジョンからではない、こいつどっから連れて来たんだ。


 「んな?! 頭に命中して何で生きてるんだ。」

『キャハハ、そんなんじゃ倒せないよ。体力を少なくすればするほど本能的に行動するんだよ。驚いてて可愛いなぁ♡』 


 一撃で倒せないと思っていなかった。頭撃ってボルト刺さってる…やばいなこいつ…


 ダ


 取れる手段……すでにバレてるし、近接で首を切りに行くいやボルトを…と考え、突っ込む


 『ジャマスルナァァァー』


  ビュン ズル ガァン  バッ ガッ ドゴッ

バッ     カチャカチ


 勢いよくゴブリンは腕を振り回し、転んだ。俺はバックステップし、クロスボウのリロードした。


『ニ…ガ…』ギュウ

 『痛い、放して…来ないで』


 シュル バジャン 


『アァーーー!!』『まだ動くの?やっ誰か助けて!!!』


 ギュ グサッ

          バタン


 頭に刺さったボルトを掴みねじ込んだ。さすがのゴブリンは倒れたようだ。


『はぁ、やっぱ弱いわぁ。まさか来るとはね、仲間の魅了で戻ってこれないはずなのに…予想外』

『アル?アルなの?』ダキッ

 「あぁ、そうだ。」

 

『……』

 『ふーん近くで見ると可愛い~でもリリーアにご執心みたいだーね♡』


 とりあえず、リリーアが近い非常に…目をつむりくっついている。


 状況の整理しよう。まずリリーアは俺の傍にいる。俺と最初に接敵した女の子は斥候役だと思うが他の役割もありそうだが取り戻したいわけではなさそうだ。明確に敵はサリアとメスガキの女の子か。


『しょうがないわね。そういえばリリーア、従属関係っていいと思わない?』 



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