第15話 帰宅

 …ギル視点

 時間は少し遡りアル達がダンジョンの入り口から走り抜けていった後…


「リーズ俺の体に後ろに居とけ」

 『うん』


   ヒュン ヒュン ギィン


 中から矢が飛んで何発も飛んでくる。フルプレートアーマーによって弾く、アルの見立て通りギルのアーマー非常に高い防御性能を誇っており、ギルを遠距離武器で倒すのは厳しいのだ。その後、近接武器を持ったホブゴブリンが出てくる。


 そしてギルは近接戦闘を仕掛けてくる相手に対して剣を振り、難なく倒していった…後ろから重そうな草をかき分けこちらに向かって来る足音に目線を向けた。

 


 ガッサガッサ


 おいおい…マジかよ。


 『熊…』



 「やるしかねぇなぁ!!!!こいやぁぁあああ!」


 ドッサドッサ


 威圧するために体を大きく見せながら剣を構え、振った。


 ズバッ 

   ジャキィイ


 熊とお互いに一撃を当てた。


ドスッドスッ


 お互いに見つめながら間合いを少しずつ広げていた。


その時、ダンジョンの入り口からホブゴブリン数十体くらい一気に出てくる。


 ブン   グサッ


後ろからホブゴブリンを狙った。アルかと思い見たら…一緒に出て来たゴブリンが木の上いた。どうやら援護するらしい。


 ドスッドスッ


 俺達よりあっちの方が敵という扱いをしたのか、熊との距離を離しつつ熊の討ち漏らしを倒すようにした。


 



アル視点


 皆の元に向かって歩いているとお母さんから話しかけられる。


『そういえば、アル何でクロスボウにしたの?』

 「うーん、自分でも簡単に使えそうだった。後、外だと弓かクロスボウの方が先手取れたり、攻撃を受ける回数を減らしたり、盾とか利用したりすると良いと思ったから。」


 本音を言わなかった。剣なんて使えない、選択肢にはないのだ。前世の頃から根っからの銃や遠距離武器のキャラが大好きになっていたからというのもあるが、適当にリアル寄りに考えながら答えた。


『あれ、でもお父さんみたく剣士になりたかったんじゃないの?』

 「そうかもしれないけど、冒険者になった時に生きる事が大切って言われたし、剣士だと才能だったり体に負荷がかかるし。それでも体の基礎を作る大切さはお父さんが教えてくれたし、続けるよ。それに攻撃する手数が増えた方がいいしね。」

『そう、私も短剣は持ってるのよ。実はね。ほら…』


 シャキっと取り出す。青色だ、こんな色の金属ってあったけ…


『ミスリルの短剣ね。あのギルにプレゼントしてもらったのよ。』

 「お父さんが?」

『そうよ、トラブルはあったけどね。一つ良い事、教えてあげるわね。物によって送る意味が異なるのよ。大切な人ができたら悩むものよ。でもね、武器を異性に送る時はね、店主とかに聞くといいわよ。もちろん私でもね、色恋の一つでもあったら楽しいわよ。』


お母さんが前に来て、頭を撫でながら言った。


 『アル、成長したね。でもね、時には何かを捨てないと勝てない時があるのよ。そんな時に仲間を庇って死ぬ事が多いのよ、だから自分の命は仲間の涙よりも重いと思ってね。ギルも仲間を失った事、もしそうなりそうな時があったらギルに聞くと良いわ。』

「それって……やっぱり仲間の後を追っていく人がいるの?」

 『そうね。誰も幸せにならない結果になる事なるわね。それでも、いなくなったもそうなってほしくない、だからきちんと見て悩んで考えてね。』

「…うん。誰も失わないそんな冒険者になる、自分もだけど。ぜっったいに…。」


 欲張りだけど、後悔しないように頑張るしかないよな。まっ仲間ができるかどうかわからないけど。そういえばトラブルってなんやろな。




 お父さんたちと合流場所へ。


 リーズとお父さんがいて、リーズが抱き着いてくる。


『アルにぃ、心配したよぉ。どっかになっちゃだめだよ~』

 「あはは、心配させてごめん。」

『もうぅ、あのゴブリンさんもどっかいっちゃったし。』プクゥ

 『さすがに、アルとリーズと一緒にゴブリンが出てきたのは驚いたけどな。まさかハーフゴブリンが出てくるか。まあ、仕方ないな敵の位置分からないから逃げるのが普通だがな。俺のホブゴブリンなら敵ではないが、熊が出て来た時は焦ったな。それでも熊は弱い奴を狙うからリーズを完全に守りながら戦うとそのおかげで殲滅で来たけどな。』

『まぁ、熊がいなければ戦利品回収して一旦帰りましょうか。』 


 どうやら熊はどこかに行ったみたいで武器などを回収できるだけして、収納に入れ込めるやつ入れ込んだ。ちょっと怠いが、慣れない環境だしな。


 お母さんが帰りに子ウサギを倒し、ダンジョンから出た子ブンとハーフゴブリンはお父さんが倒してたため特に戦闘もなく、家に着いた。

 ご飯を食べすぐ寝てしまった。

 すぅーすぅー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


同時刻


 場所変わり、廃村の近く。


 冒険者ギルドがお金を出し、冒険者二名が廃村の調査を行う。情報の速度が遅いため複数の情報原を調べなければならない。おまけの依頼もある。


 『はぁ、何でこんな夜遅くまで探さなきゃならん。』

『うっせ、帰ったら酒場で昼間まで飲めるんだ。』

 『まっ、大方ガキの情報だけじゃ当てにできなかったんだろうよ。本土への道の重要って言ってもな。そういえば、本土の方だとあの時期だな。こっちには関係ないけどな。』

 『とりあえず大体の様子も見れたし、帰るぞ。またゴブリンに襲われたら面倒だ。』


サクッサクッサクッ


木陰隠れて覗きながら聞き耳を立ててる一人の女の子がいた。


「武器持った大人の人達…ゴブリンっていうのがここら辺に出てくるのかな?ここの廃村ならごはんあるかな?」グゥ



 アルが見つけた廃村に食料がないか探す。

 調理場や干物や干し肉を食べてた。


 「硬い…ガリッ…でも……あそこにはもう戻りたくない。少しお腹膨れたかな。明日は果物でも探さなきゃ…」


 何であの顔が思い浮かんだろう。でもそれをあの時言ったらもっと酷い事になってのかな。


 私の失敗を思い出す様に振り返る。




 ここは私の里で一番大きいお家にお邪魔している…つまり、自分が下にいる状態だ。


 「私に用って何だろう。」


 何故呼ばれたのか、親友に少し睨まれながら・・・


『あのお方が貴方に用があるってよ。貴方は虐められてるんだから、これで少しは立場が良くなるからあのお方と仲良くしなさい。何があっても、断らない事よ。いいわね。』


 いつもより不機嫌そうに親友は言われた。これを断る事は親友の顔を泥を塗る事にもなる。親友の彼女はこの里で同い年で魔法の実力や発達した体付きで一目を置き、この里で一番に等しいくらい立場が良い。


 そして親友も後ろに控えており、親友のあのお方の取り巻きがさらに後ろにいる状態である。


 親友のあの”お方”という人が出て来た。面識自体はあるかもしれないけど、虐められていたこともあり、顔とか見ない事も多く覚えられない事も多かった。

 私に比べ身長は高く、お父さんと比べると筋肉や体の全体の大きさは劣っていた。


 『そうか、お前が半端者か。今日、夜伽に来い。』

「よ…よと『はっ?え?何で…あの子よりも優れてるはずの私じゃないの?』


 親友は私の疑問を聞く前に異議を唱えた。


 『確かにな。だが、”今”はダメだ。』

『って事は♡コノアト…カナ』


 親友の様子の呟きを先に応え、返事は必要ないのだ。拒否権はないから…

取り巻きに正装に着替えさせられて…


「うっ…あの表情は…あっ」


この後は思い出したくない。過去に負ったトラウマから逃げる様に眠った。

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