第10話 多勢の倒し方1

 試射をした後、森の奥へ進んでいく。


 セーラとリーズは少し後ろをついていく。体感的には5mほどだ。お父さんに理由を聞くとどうやら5mであればすぐに後方に一瞬で守れるギリギリの範囲らしい。

 どうやって守るんだろう。盾でもぶん投げて守るんかね?


 いやないな。体の向きを変えて、脚力で向かうとか?でも重装備で俺よりも動きが早いとも思えない。


 お父さんが言うには子ブンは見つけたら一番近い奴か見つかったやつを攻撃する事が多い。ダンジョンにいるやつに限っての話だ。まっ、つまりそうそう前にいる奴を無視して攻撃してこないって事らしい。


 お父さんが顔だけ後ろに向けるのと同時にハンドサインを出した。


『お前の言う子ブンがいたぞ。まだバレてないからセーラの所に行って、戦い方見てこい。』


  進んでいるとお父さんが子ブンを見つけた。数は10匹以上いたように思う。

とりあえず、お母さんのところまで行く。


『アルにぃ、こっちにゆっくり来てるね。』

 『んー思った以上にいるわね。アルがこっちに来たって事はバレてないのよね。』

「お父さんからセーラの戦い方見てこいって…」

 『そう…分かったわ。リーズ、アルちょっとここでじっとしててね。見える位置で戦うから。いいわね』

「『はい』」


 スッサッサッサ


 何か動きが軽い、結構足音って聞こえると思うけど聞こえない。森で静かなところでしかも地面土でそんな音ならないはず。まあ、落ち葉とかで小さくなってるんじゃないか、学校のグラウンド土だったけど走って急に止まる時にズサッって音なるんだよな。

 ちなみに全力ダッシュで止まる時足に負担掛かって壊れるからゆっくり止まるんだぞ、アルにぃさんとの約束だぞ。(裏声)


 コロコロ カチャカチャ ギュー


 おっと、ここからはお母さんのターンだ。

 お母さんの武器は弓だ。色々と突っ込みどころがある弓だぁ、金属でできてるように見える弓だ。

 まず、矢玉を地面に数十本転がして、向きだけ合わせてる。

 そして、すぐに攻撃パターンに入った。この間わずか0.3秒だ。(誇張)


『お母さん、すごい十秒ぐらいで準備終わったみたい。』


 ここで、リーク情報だ。10秒ぐらいだった。


 グサッ ギュ ヒュ ビュンビュンビュン グサッザクッグサッ


 ダニィ…三本同時発射だ。握力とかどうなってんだ。何で命中してるん…頭の大きさリンゴとほぼ変わらんやん。


 サッ ギュ ヒュ ビュンビュンビュン グサッザクッバキッ 

                  グギャグギャギャ?!


 「ゴッ……ビューティフォー」

『何言ってるの?アルにぃでもかっこいいよね。』

 「いいセンスだ。リーズ」


 早すぎてステンバーイ言えないレベルだ。

 さて、おふざけはやめにしてかなり手先は器用だ。三本同時に発射するということは想像以上に難しいと思う。お箸三本持って豆掴めるかって話だ。持つ場所や長さを整えれば行けるだろうけどそれでも整えずに撃てるってのはすごい。

 五体は倒したが、すぐにバレたぽい森にずっといるから気配に敏感なのかも


 グギャアー ポイポイポイポイポポイイ ヒュヒュヒュンヒュンヒュヒュン ゴロボタタタ

サッ スッタッタッタ ヒュッ バッ ギィー ギュー ヒュ ビュンビュン グサッグサッ


 隠れて良く見えなかったが、一瞬で木陰に隠れそこそこ丈夫そうな木の枝に乗り2発の方が弱点狙えてるような。


 『オラーよっと』


 シュン ザクッバキィ グシャ


 お父さんが大声で叫ぶ。


『アル…クロスボウ残りを倒せ…それと下がりながらもう一度攻撃して近接戦を仕掛けるぞ。』


 ダッ ダッダッ ガサッ ダッダッタッ


 コロコロン ガチャ コン


 すぐに再装填できるように、地面にボルトを3、4個ほど置き、狙いを定める。一度状況を確認してたら…お母さんが声が聞こえた。


『大丈夫よ。前よりも数は多いかもしれないけど、安心して倒しなさい。』


 声をした方向を見るとお母さんがグッと手を見せられる。


「ふぅ…すぅ…」


一度深呼吸をして、集中をする。引き金を引く。

 

 パシュ……グサッ ゴダ バタン


命中し、灰となり消える。

 すぐに身を低くし、再装填…攻撃をする。


 パシュ…ボキッ ゴッ バタン


 まだ自分の位置がバレていないためもう一度、撃つ……腕に命中したが、威力が強いので後ろにいたやつとぶつかり、灰になり消え、後ろにいたやつは気絶してた。

 体が小さい分、倒しやすいが普通に戦ったら数で来なければ何とかなるな。


 グギャギャギャ


 ここでバレたみたいで、子ブンが指であの辺と指してくる。隠れて、装填だけしとく。近づいてくるので、槍に切り替える。

 体を出し見ると、見つけたやつがかなり近くまで来ていた。


「突撃ぃー!」

  ダッ スッー グシャ ダッダッダッ 


 突き刺し、一気に走り抜けるが……子ブン達が石を投げてくる。


 グギャギャ ポポイ  ゴロゴロン

        ザクッ クルン ダッ ダッダッ シュン パシュン グサッ


槍を地面に刺し走る勢いを落とさずに右に曲がり回避する。

 遮蔽物に隠れ、すぐに追ってくる奴に向けて放ち倒す。木に隠れ、再装填する。そして子ブン達がいるところをみると、遠くから弓の援護があり、気絶したやつと足に命中したやつが倒されてるのと、お父さんが注意を惹き、子ブンが集まっていってたので、狙いを定め撃ち。もう一匹、もう一匹と倒してく、するとお父さんが近接戦を仕掛けに行き、最後の四匹を倒した。


 まだ数の多い敵の倒し方は分からないが、咄嗟の対応力と一瞬でも相手の死角に入り見失わせる事が重要なのかもしれないとこの時の自分は思った。

 


 




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る