第65話 ねずみ探しネットワーク
ボクはベッドに横になったまま考えを巡らせる。
ボクを含めた6人を集めて話し合う、そのセッティング自体は割と簡単にできると思う。
それだけ今回の事件はLTSGの3人にも、またボクに続いて第二の当事者である
むしろ問題はボクの身体の中に二人分の魂があるって事をどうやって司くんや彼女たちに説明して、その上納得してもらうかだろう。
それは原因も解決方法も熟知している玲亜ちゃんに任せてしまうことになりそうだけれど。
§
5限目が終わったタイミングで、ボクは授業に復帰した。
教室に戻ったととたんに
その後、今日最後の授業が終わってみんながそれぞれに帰宅しようとする中、ボクは司くんの席に単身近づく。
ボクに気がついた彼は席に座ったまま待っていてくれた。
「もう大丈夫なの?」
「うん。今はすっかり。また心配掛けちゃって、ごめんね」
ボクの言葉と同時に、彼の緊張が表情から抜ける。
「
そしてクラブ活動もない今日は、そのまま二人揃って帰途に就いた。
昇降口から外に出て、歩きながら話す。
「それで、実は少し相談したい事があるんだけど」
「僕にできることならなんだって構わないよ」
「むしろ司くんにしかできないことかもしれない」
「僕にしか?」
「そう。
今日起こった事件への対応策……というか解決策を、1組の
それでその説明を今度、愛ちゃんたちや秦さんを交えて6人でやりたいと思ってるんだけど。来てくれるかな?」
少し悩む素振りをする彼。でもNOとは言わない。
「わかった。
でも一つだけここで教えて欲しい」
「なに?」
「今朝の事件、君の身に相当な危険が迫っていたりする?」
彼がボクの事を心配してくれている。
正直それはボクが考えていた以上にだって事が、彼の声色から伝わってくる。
「それは……危険なのは確かだけど、今すぐ取り返しが効かなくなるって事もないと思う。
ボク自身では分からないことも多くて、まだ整理が追いついてないところもあるんだけど……。でも事件に関しては秦さんが解決してくれるはず」
「そうなんだ。僕で良ければぜひ協力させて欲しい」
「ありがとう。日程とかはまた送るよ」
彼は頷くと、今まで見た事のないような真剣な目つきでボクを見据えた。
その目力が気になって、思わず尋ねてしまう。
「司くん、なにか?」
「いや、またラインで」
「うん。面倒事に巻き込んじゃってごめんね」
「謝らなくていいよ」
頭を下げたボクを見る眼差しは、いつもの柔らかさに戻っていた。
§
夜、これ専用のライングループを新しく作る。
LTSGのメンバー、それから司くんを登録していくと、それぞれからすぐに返事が届いた。
玲亜ちゃんのフレンド登録だけまだだったので、その場から念話で聞いてみる。
『もしもし』
『あらこんな夜更けにどうしたの?』
『例の作戦なんだけど、打ち合わせ用にラインでグループ作ろうと思って』
『悪くないわね』
『玲亜ちゃんにも入ってもらいたいんだけど、よく考えてみたらID知らなかったなって』
『あら、教えていなかった? ええとね……』
こうして6人全員の登録も無事に終わって、まずはボクから今回の事件についてのお詫びと、このグループで今回の事件の解決を図っていく旨を伝えた。そして改めて玲亜ちゃんを皆に紹介する。
(実際、ラインだけじゃ説明は足りないんじゃないかって思うから、一度この6人で集まりたい>
そう送信したらあっという間に日時と場所が決まって、次の日曜日午後、いつものカラオケ店に集合することになった。
§
「今日は集まってくれてありがとうございます。
ラインでも伝えたけど、先日起きたボクの奇妙な行動について、この1組の
ボクの司会で会議が始まった。
「玲亜ちゃんの事は
ボクがこう言うと、LTSGの三人が軽く頷く。
「僕はほぼ初対面だね。教室に良く来ているのは知ってるし、優樹さんから多少話は聞いてるけど」
「あなたが
いきなりの暴露に、ボクの顔は一瞬で赤くなる。事実だけに反論もできないままでいると、司くんの方も頬が少し赤みを帯びているのに気がついた。
なにもはじめましての挨拶でそんな事を口走らなくても良いじゃないかと玲亜ちゃんを軽く睨んでみたけど、彼女はそんなボクの様子には目もくれずに悠々とソファーに身を預けていた。
そして喉を潤していたグレープジュースがまだ残るグラスをテーブルに置くと、玲亜ちゃんが話し始める。
「それじゃさっそく話を始めるわ。
先日起きた、
あの事件の原因は、この子の身体の中にもう一つの魂が入っているせいなの」
ボクと玲亜ちゃん以外の4人の表情が固くなる。
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