第3話 タイミング

タイミングが悪いときって、ほんとにタイミングが悪い。

朝から生理痛が酷くて、6限の体育の時間にはすでに頭が朦朧としていた。

もともと体育が得意じゃないから、見学などで成績を落とすわけにはいかない。

ただ、座っているのですら辛いほど酷い...


呼ばれた順に並んでいって、体育の授業で行うバレーボールのグループを組む。

力の差がなるべくできないように、先生がメンバーを決めるらしい。

小学生じゃあるまいし、グループのバランスぐらいみんなで調整できると思うけどね。


「次はグループ3だよ」

「__。__。梨央〜」


呼ばれちゃった...行かなきゃ...

体が重い。立ち上がることすらしたくない。帰りたい。

先生の誰かが家まで送ってくれたらいいのに。なんて...


...あっ

「梨央じゃん!!やった、うちら一緒だね!」

「杏夾、よろしくね____」




大好きな杏夾とは同じグループに。

うちのクラスで一番かわいいって言われている凛ちゃんも一緒。

話しやすそうなメンバーで良かった。


と、思っていられたのは一瞬だった。


「奏、お前もグループ3だよな?俺ら勝確じゃん。」





_______あ〜あ。

タイミングが悪いときって、やっぱりタイミングが悪かった。

一瞬でも舞い上がったうちが馬鹿でした。

物事そんなにうまくは行かないよね。

バレーボールの授業、始まっていないけどもう辞めたいもん。




「てか、梨央大丈夫?めっちゃ険しい顔してるけど...」

「あっ、ごめんごめん、コンタクトがなんかゴロゴロしてて。」




笑いながら大丈夫だよ、と嘘をついちゃった。

私が杏夾のことを心配するぐらい、杏夾も私のことを心配してくれることを知っている。だからこそ、余計な心配をかけたくない。グループ決めぐらいで騒いでいたら、いつになっても大人に離れない気がする。これぐらいなんともなく流せるような人にならないと。



とにかく、柳田とグループも一緒とかほんとドンマイすぎる...

お腹も痛いし...




結局、今日はグループ発表とオリエンテーションで授業が終わった。

実際に授業が始まるのは次回からみたい。



「起立、気をつけ、礼。」

__ありがとうございました。






あっっ、やばい。



号令で急に立ったとき、ぐらっと視界が回った。


体を支えられない。頭の中が真っ白になる。

やばい、このままじゃ倒れちゃう、

もう無理______






「体調悪いのに授業来てんじゃねーよ。」





え?

隣からすごい力で引っ張られた??

___だ、れ?


意識がぼんやりとしたまま顔を見ると、




「うそ?...や、柳田?」


「嘘じゃねーし。てか来んな。帰れ。」




私を床に座らせると、スタスタとそのまま行ってしまった。


え、どういうこと?なにがあった??

助けてもらったの?でも、来るなって言われたよね?...



よくわからない。よくわからないけど怖い。なんか怒られた気がする。

怒られたような気がするし、怖かったけど、とにかく無理。もう無理。

気持ち悪いし、頭回らないし、もうよくわかんない。



びっくりした顔で教室まで荷物を運んでくれた杏夾にお礼を言うと、

顧問の先生に体調不良であることを告げて、帰りのHRが終わってすぐに帰った。

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