お節介

私はおせっかいババア。留子


今日もせっせとお節介を焼く。ジュウジュウとね。


ほいさ、ほいさ、ほいさっさ。


朝の登校児童を見送るのが習慣だ。小鳥のさえずりが耳に心地よかった。


何人かの児童を見送る。


あ、来たなあ


「おはようございます」


「おはよう、ちょっと待ちなさい」


小学一年生のゆうた君が身構える。黄色い帽子が可愛いのだ。


「な、なに」


ゆうた君はうろたていた。


「うしろむいて」


「い、いやだよ!」


私ことお節介ババアは、カーペ!と手に唾を吐きかけた。


嫌がっているのなど無視である。


ゆうた君の寝癖頭を撫でつける。


「ぐえええ、きたねええ」


ゆうた君は走って逃げていった。


今日もお節介を焼いてしまった。


嫌われただろうか。


まあ、いいのよ。


あの子のためだもの。


身だしなみは大切よ。


ピンポーン


「はい」


「こんにちは」


「こ、こんにちは」


お隣のアラサー男子、元気君は私ことお節介ババアを見るなり、


苦虫をかみつぶしたような顔をした。


私はニヤリと悪魔のように笑った。


これ、と言ってあるものを手渡す。


元気君は躊躇しながらも受け取った。


「またですか……」


「すごく良い子なのよおお」


お見合いをすすめているのであった。


「いやあ、」


「いいから、いいから」


脱少子高齢化社会だ。


「旅行のお土産期待してるわね」


「あはは」


根気よく続けるのである。


家に帰って、ツイッターを見る。ごろごろごろ。


おやおや、この子はまた悩んでいるのかい。しょうがない。


なになに?


鬱で仕事が見つからないだあ?


とりあえずコメントと


鬱には、エゴマ油と摂って


サウナにいって温冷浴をしたら


良くなるんじゃないかなあ。


全然関係ないことコメントして、糞リプとか言われてもしったこっちゃないわ。


ほいさ、ほいさ、ほいさっさ。


んー?


この子は最近本が読めなくて困っているだああ?


コメントコメントと


マインドフルネスをしてください、マルチタスクをしていると疲れるので、


一つのことに集中するようにして。


後、自然音とかを聞くとか、


たき火とかおすすめ。


後は、散歩にでかけるとか


サウナで温冷よくでばっちりよ!


こんな感じのコメントでいいだろう。


いっつも無視されるけど


いいのよ。


求められていなくてもいいのよ。


きっといつか分かってくれる日がくるかもしれない。


あなたのために心を鬼にします。


私は好かれなくて良いの。


老婆心の塊だもの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る