親子
母さんが、ぼけてしまった。
俺は面倒をみないといけなくなった。
面倒くさいとはおもうけれど、
べつにいやではなかった。
母さんの、食事の世話をしたり、
トイレの世話をしたり、
同じ話を何回も聞いてやったり、
別にいやではなかった。
父さんの時は、嫌でしょうがなかったけど、
なんで、母さんだと嫌だと思わないのだろう。
沢山愛を受けたからだろうか。
ずっと面倒を見て貰っていたからだろうか。
赤ちゃんの時にオムツを替えてもらって、
お乳を飲ましてもらって、
泣いたらあやしてもらって、
おんぶしてもらって、
遊んでもらって、
お話してもらって、
沢山、見て貰ったからだろうか。
今は、立場が逆になっているけれど、
それは当たり前のことで、
今度は俺の番なんだ。
いつまで、一緒にいられるのかわからないけれど
親父は、まあどうでもいいんだけど、
親父は、今は施設にはいっている。
お金を払って他人にみてもらっている。
この違いはなんだろう。
別に嫌いなわけではない。
ちゃんと、一週間に二回ほどは会いにいっている。
けど、自分で見ようとはおもわない。
殴られたり、叩かれたり、怒鳴られたり、
沢山面倒を見て貰ったとはおもっている。
沢山怒られたな、
馬鹿野郎!
そうじゃねええ!
いうことを聞け!
お前に使った金はドブに捨てたようなもんだ!
俺のいったとおりだろう
なんだろう、
あの人がいるから今の俺がいるのだが、
怖い存在だったからだろうか
母さんにも負けないくらい愛してもらっていたはずなのに
ただたんにマザコンなのだろうか、
もしも、俺が女にうまれていたら、
親父もみていたのだろうか
見ていたかもしれない、
きっと、女の子になら優しい扱いをしていただろう
そしたら、違ったんじゃないだろうか
同じように愛して貰っておきながら、
俺は残酷だ。
きっと、親父は寂しく思っていいるのじゃないだろうか。
親父と面会したとき
家に帰りたいと言われたことがある。
聞こえないふりをした。
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