部屋のベッドで本を読んでいると、窓が叩かれた。


なにも気にせず本を読み続けた。


窓がガラリと開けられる。


「おい、ゲームしようぜ!」


となりの家に住んでいる、啓介がいつもの如く私の部屋に入ってきた。


「本よんでんだけど」


啓介は、私のそんな返事など気にせず、


ニンテンドースイッチを起動させて、テレビの電源を入れた。


「ほれ」


といって、コントローラーを投げて渡してくる。


「またこれやんの?」


「いいだろ、おもしれえんだから」


「弱いくせに」


「うるさい」


「今日さ、知義君に告白されたんだけど」


啓介のキャラがやられた。


「あー、知ってるけど」


「なんで、知ってんのよ」


啓介は座椅子の背もたれに寄りかかった。


「なんか言ってきたし」


「なんだそりゃっ!」


私は、敵を銃で撃ちまくった。


「そんで?なんて返事したんだよ」


「きになんの?」


私は啓介の後頭部を見た。


ちゃんと顔は見えなかったが、不機嫌そうに


「別に」


と言ったのを見ていた。


私は、さらに銃を撃っていた。


「ことわりましたっ!」


戦闘が終わって私が一番だった。


「ふーん」


しばらくゲームをしていた。


昨日、学校で嫌なことがあった。


今日は学校に行くのをやめよう。


スマホでお母さんにラインを送って、枕に顔を埋めていると。


どんどん、窓が叩かれて、暗かった部屋にあかりが入ってきた。


「休むのか今日」


啓介だ。


私は、啓介を見もせずに手だけ振って応える。


「明日は、こいよー」


といって窓が閉まった。


また部屋が暗くなった。


意識がまどろんだ。




昨日、啓介とけんかをした。


今日もいつもどおり窓が叩かれているが、今日は鍵がかかているので、あいつは入れない。


くぐもった声であけろーと聞こえてくるが開けてやるつもりはない。


私は、窓に近づく。


「なに?」


昨日はごめん


「あ、そ」


学校いかねえの?


「あんた、とはいかないわ」


んじゃあ、先行くぞー


帯をいつもよりきつく結んで、私も部屋を出た。


「なあ、ちょっときて」


啓介が窓から私を呼んだ。


「ん」


窓に近づく。


「もっと」


「は?」


私は窓ギリギリまでちかづいた。


「顔だしてみ」


私は窓から顔をだした。


キスされた。


顔が紅潮するのがわかる。


ばっ!と窓から飛び退いて。窓を勢いよく閉めた。


「しね!」

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