すすき
すすきが課題だあ?
そう言って机に座りながら湯気のでる、ココアをすすった。
太郎は、シナリオ口座にかよっている二三歳だ。
こんなもん、ありきたりな物しかおもいつかねえよ!
ペンを机に叩きつけるように置いた。
んー
頭をかかえる。
考えても考えても、
ススキについて面白い使い方が思いつかなかった。
秋の季節感、すすきが生えている描写くらいだろうか。
ススキが枯れて、冬に移るとか
ススキが生えてきて、夏から秋になるとか
普通はそんなものだろうと太郎は考えた。
他に使いようがあるかあ?
秋の訪れくらいだよなあ
その、秋を特別な季節に演出する場合がつかえるのかなあ。
太郎は、目の前にあるすすきを噛んで両端を引っ張って、引きちぎった。
こんな使い方もあるっちゃある。
例えば、こんなのは?
秋に男の人からススキを渡される女、その男は秋にしか会えなくて、ススキをみるとその男のことを思いだす。
悪くなかろう。
調べて見ると、沖縄とかだとすすきを輪にして、魔除けにしたりもするようだ。
クリスマスリースみたいなものだろうなと太郎は思った。
この輪が魔除けの意味として効果があるのであろう。
サークルの内側に入って、魔をやり過ごすとかがあるらしい。
「ただ、こんなネタ一般の人知らねえからつかいづれえよ、わざわざ説明しなきゃいけないのかよ」
考えると、この魔除けネタだとススキで魔を遠ざけられるから、一応使える。
ホラーとか、得たいのしれないものと戦う話に限られるが、
太郎は、机に脚をかけて、脚を伸ばしたり曲げたりして、椅子を傾けながらバランスをとっていた。
「あとは馬の尻尾としての使われ方があるけれど……」
大切な馬がしんで、その変わりにすすきみたいな使い方か
それは辛いかな。
無理があるなあ
と太郎は手を頭の後ろにやって上を見た。
「こんなもんだろうな」
太郎が使うなら、秋季節に魔物と戦う話が書けるかなというところだろう。
他には、すすきを使って、人をくすぐるとか
魔法のステッキのかわりにふりまわすとか
こどものおもちゃみたいな感じかなあ。
結局、秋の訪れと秋の終わりくらいしか思いつかないけれど。
秋を表すには便利なものなのだろう。
一発でわかる。
よーし
と言って太郎はペンをとり原稿に向かい始めた。
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