時計

カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ


ゴーン、ゴーン、ゴーン


十二時の鐘。


その屋敷には時計が無数にあった。


数えるのが馬鹿らしくなるくらい、沢山。


至る所、に時計、時計、時計、時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計


目が回る。


時計だけに。


人形は、時計のはりが後一周するまでに、屋敷の掃除を終わらせなければならなかった。


「よいしょ、よいしょ」


一生懸命掃除をがんばっていた。


その人形の心臓のあたりにも、時計がついていた。


埋め込まれていた。


カチカチと時を刻む。


高級な調度品や、家具が沢山あった。


ぱたぱたとほこりを落とし、


長いテーブルを拭いて。


椅子をふきあげ。


ちりとりで床をはいてから、


床を濡れた雑巾で拭く。


「ふー、綺麗になった」


部屋は、ピカピカになった。


人形は次の部屋に移った。


先ほどいた、部屋と比べると汚かった。


「がんばるぞい!」


人形は、そういって拳を肩のところでぐっとした。


この部屋にも時計。


後、部屋は百ばかりある。


途方もなかった。


とても後、十二時間では終わらないであろう。


コチコチコチコチコチコチコチコチ


時計が後、少しで十二時になる。


人形は時計を見た。


「とても、終わらないなあ」


十二時になったらどうなるのであろうか。


人形は知っているのであろうか十二時になったら自分がどうなるのか。


「十二時だ」


時計の針が、真上を向いた。


時計は、鐘を鳴らさず一斉に止まった。


針が動かなくなった。


音がしなくなった。


屋敷から音が消えた。


人形は……


人形の胸の時計も動かなくなった。


ガシャン!!


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