第10話 ないない、桜に限ってそれはない

 ここまで来れば大丈夫だろ。


「ごめんな、桜。あんな解決の仕方しか出来なくて」

「いえ、全然。その、かっこよかったです」

「ん? なんて言った?」

「な、なんでもないです。忘れてください!」


 どうしたんだ?

 まあいい。とにかく、


「桜、回復薬くれないか?」

「あ、はい!」


 俺は回復薬を飲む。HPが51になった。

 ふぅ、これで一安心だ。

 

 だがもう奥の手を使ってしまった。今日は致命傷を受けてしまえば一発で死んでしまう。ステータスを上げれるだけ上げておかなければ。


「ステータス」

 

ヤマナカユウト

 職業 平民

 レベル 20

 HP 51/60

 MP 12

 ちから 43

 かしこさ 13

 みのまもり 13

 すばやさ 33

 かっこよさ 13


 スキル E 底力 レベル1(体力が10以下の時に攻撃力+10)

     D 逆境 レベル2(相手の方が能力値が高い場合、全ステータス+7)

     A ど根性 (HPが2以上の時、1日に1度だけ致死量のダメージを受けてもHPが1残る)

     S 死してのちむ (HPが1の時、ちからとすばやさのステータスが倍になる)」


レベルアップ『ポイント70』


 おっ、レベルが上がってる。いいぞ!

 

 俺は今回の海斗との戦いで気づいた。誰よりも早く動き、誰よりも強い攻撃を放つ。

 これって最強じゃね! 相手の攻撃は全てかわせばいい。そう、どこかの殺せない先生のように。

 これなら俺が今持っているスキルと相性もいい。

 そうと決まれば、


「ちからにポイント30、すばやさにポイント40」


 よし! これなら格上の相手とも戦えるかもしれない。HPはレベルアップで上がっていくし、回復は桜がいる。完璧だ!!


 そうだ、桜にも俺のステータスを見てもらっておいたほうがいいな。


「桜、俺のステータスを見てくれるか?」

「いいんですか?」

「俺は桜のステータスを見てるし、今後の為にも、桜に俺のステータスを見ておいて欲しいんだ」

「今後の為にも・・・分かりました」

 

 桜が少し頬を赤らめながら、俺のステータスを見た。その瞬間、桜は固まってしまった。


 あれ、何かまずいことでもあった。

 一瞬、海斗が俺のステータスを見た時のことを思い出す。


 ないない、桜にかぎってそれはない。


 ないよな?


「どうした?」


 恐る恐る桜に尋ねる。


「さっき、海斗さんを倒したのってこのSランクのスキルを使ったからですか?」

「ああ、そうだが・・・」


 なんだ、Sランクのスキルを見て驚いていたのか。それなら納得だ。

 これで桜も俺に惚れること間違いなしだな!


「このスキルはこれから絶対に使わないでください!!」

 

 桜の口調には怒気が混じっていた。


 えぇーー、なんで???

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