第4話 やっぱり、そういう展開ですか!?

 なんだよ、あいつら! 俺が平民だって分かった瞬間、手のひら返しやがって。

 特に海斗! 言いたい放題言い過ぎだろ!!

 俺だって好きで平民になったわけじゃないんだぞ!!!


 はぁ、それにしてもこの状況はヤバイ。

 今、モンスターに襲われでもしたら死んでしまう。とりあえずステータスを上げないと。

 HPにもポイントは振れるのか? 


「HPにポイント5」


 ステータスのHPが50を表示する。


 おぉー! ちゃんとHPも上げられるのか。MPも上げられそうだが、スキルも使えない俺が上げても意味ないか。

 ここはちからに振っておこう。

 

「ちからにポイント25」


 ちからが38になる。


 よし! これでモンスターに攻撃が通るだろ。あとは均等に分けておくか。


ヤマナカユウト

 職業 平民

 レベル 13

 HP 50

 MP 10

 ちから 43

 かしこさ 13

 みのまもり 13

 すばやさ 13

 かっこよさ 13


スキル なし


レベルアップ『ポイント20』


 うん、これでいいだろ。とにかく森を出ないと。


 それにしても、あいつらはいいよな。

 職業は勇者で、海斗に至ってはSランクのスキルだ。今でも、俺のことを笑いながらモンスターを狩りまくっているんだろう。


 くそっ! 思い出したら、また腹が立ってきた。


 俺は目の前にあった石を思いっきり蹴飛ばした。

 

「キャウン」


 なんだ? 今のかわいい鳴き声は?

 とても嫌な予感がする。いや、嫌な予感しかしない。


 突然、茂みからオオカミが飛び出してきた。


 ぎゃー! やっぱり、そういう展開ですか!?


 オオカミは俺の左腕に噛みつく。


 いてぇ! この野郎!!


 俺は腰にかけていた木刀を右手で持ち、オオカミの腹を殴った。

 オオカミは呻き声をあげて俺の腕を離す。

 突然視界に現れたゲージは半分以下になっていた。小さく8/50と数字が書かれている。


 俺の体力か。ヤバイな、次の攻撃をくらったら死んでしまう。ここは一か八かの賭けに出るか。


「すばやさにポイント20」


 よし、これでいけるはず!

 慎重にオオカミとの距離を保つ。


 今だ! 


 俺は勢いよく右足で地面を蹴った。

 体が予想以上に軽い。一瞬でオオカミとの距離が縮まる。俺は急いで木刀を横に振った。


 ボガッ!


 鈍い音が響く。

 木刀は見事にオオカミの鼻に当たった。


 よっしゃ! これでどうだ!!


 木刀に吹き飛ばされ、オオカミは激しく木に激突する。しかし、まだ死んではいないようだった。なんとか立ち上がり鋭い眼光を光らせる。

 オオカミは唸り声を上げると、俺に向かってまっすぐ突っ込んできた。


「うわっ!」


 俺はびびって木刀を投げる。木刀が回転しながら飛んでいく。オオカミも木刀が飛んでくるとは思いもしなかったのだろう。

 かわすことなく、木刀に突っ込んだオオカミは、木刀を眉間で受け止め、力なく倒れた。

 

 オオカミがいた場所にお金と毛皮が生まれる。


 倒せたのか? 

 や、やってやったぜ! 平民でもやればできるんだ!! 倒し方はダサかったけど。


 俺は力なく、その場に座り込んだ。


 はぁ、今のは本気で死ぬかと思った。さすが異世界だな。

 でも、俺、結構戦えてたよね?

 これならなんとかなるかも!

 

 俺はお金と毛皮を回収した。毛皮は触れると消えた。ステータスを開くと、新たに道具欄ができていた。


 あの神、説明不足なんだよな。

 俺は神に悪態をつきながら森を出た。

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